ミナミハンドウイルカ発見50周年でシンポ 瀬戸内町 保全、活用の可能性探る
鹿児島県奄美大島近海などに生息するミナミハンドウイルカをテーマにしたシンポジウム「国内初発見50周年記念 見たい!知りたい!泳ぎたい! ご近所イルカの謎に迫る」が8日、瀬戸内町のきゅら島交流館であった。島内の観光事業者や一般ら約80人が来場し、詳しい生態への理解を深めるとともに保全の在り方や活用の可能性を探った。 シンポジウムは環境省奄美群島国立公園管理事務所(広野行男所長)と奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)の共催。興会長と小林希実さん(沖縄美ら島財団総合研究所主任研究員)、柏木伸幸さん(かごしま水族館学芸員)、小木万布さん(御蔵島観光協会前事務局長)、森阪匡通さん(三重大学大学院教授)がそれぞれ調査・研究の成果を報告した。 ミナミハンドウイルカは温暖な海の沿岸部に生息する体長2~2・5メートルほどのイルカで、1974年に瀬戸内町の大島海峡で国内新記録種として発見された。国内では鹿児島、天草、東京都の御蔵島、小笠原諸島周辺海域などで見られる。 興会長は奄美大島のミナミハンドウイルカの出現状況や、個体識別調査の内容、奄美の鯨類観察ツアーの歩みなどを報告。餌やりや接触、過度な接近などを禁止する自主ルールを紹介し、「人気の高いザトウクジラに続き新たな観光資源としても注目される種。地域と連携して見守っていきたい」と語った。 小木さんは東京都の御蔵島で約30年続くドルフィンスイムについて、行政・観光協会・観光事業者・研究者・観光客が協力して保全と観光の両立を図る同島の取り組みを解説した。 飼育研究で分かってきた詳しい生態や野生個体の個体識別調査、イルカが発する音声の録音データを用いた最新の研究内容などについて報告があったほか、74年に瀬戸内町から輸送され現在もショーで活躍するイルカの「オキちゃん」の近況も動画で紹介された。 総合討論では観光利用時の安全対策などについて意見を交わしたほか、会場からの質問に答える形で、講演者がそれぞれの研究内容を更に詳しく説明した。