1月歌舞伎座『京鹿子娘道成寺』は、こってり壱太郎VSさっぱり右近のダブルキャスト!
成功祈願後のお昼は、精進料理……ではなくてカレー!? 娘の恋心を様々なシチュエーションで踊り分ける『道成寺』は、1時間以上をひとりで踊りきるハードな演目で体力が必要。カレーで、パワー注入でっす♪
■最近、熟年夫婦感が出てきました(笑)
小僧 本当に仲がよくて、厚い信頼関係で結ばれているお二人ですが、そもそもお二人がぐっと近づいたのは、何がきっかけだったんですか? 右近 2018年に、僕の自主公演「研の會」に壱太郎さんに出ていただいたのが大きいと思います。地方の公演などで一緒になったときに同年代で話をする機会が結構あるんですけれど、その中で壱太郎さんとは、「こういうことにこだわってやっていきたい」とか、「これからどういうふうにやっていきたい」という話をしたときに重なる部分がすごくあって。同じタイミングで、同じことを感じているということが多くて共感できたんですね。 それで何か一緒にできたらということで、「じゃあ、僕の会に壱さんが出てくれるんだったら、以前から二人とも憧れていた『二人椀久』をやりたいです」って電話したんです。そうしたら壱さんは気づかいの人ですから、「それは本当にケンケンがやりたいの? 僕のためにやりたいみたいなことになってない?」って。それで「いや、今回は壱さんと二人で、本公演に向けてのプレゼン公演にしたいんです!」と言ってお願いしたんですよね。 壱太郎 「本公演でもかならず実現できるようにやろう」ってね。それで『二人椀久』と『封印切』をやったんですけれど、「プレゼン」って言いつつ、いざチャンスが巡ってくると「今じゃなくていいか」みたいな感じになって、全然、本公演では実現していないんですけれど(笑)。 部長 実際、「研の會」では、お二人でやってみて相性のよさみたいなものを感じたんでしょうか?
道成寺には、これまで白拍子花子を勤めた数々の俳優の写真が奉納されている。二人が見入っているのは、中村雀右衛門さんの写真。「心に残っている『道成寺』は、祖父(坂田藤十郎さん)が博多座で、喜寿の記念公演として踊ったものです。僕は祖父のようには踊れないし、年齢も違うので、その通りにはやるわけではないんですけれど、あのときの祖父の踊りの空気感を少しでも表現できたらと思っています」(壱太郎)