「最後のイベント」にぎわう 川口アパート建て替え 来年3月末に立ち退き 長崎
浦上百貨センターや県営住宅などが入る長崎市川口町の「川口アパート」。老朽化のため建て替え計画が進む。入居する約20店舗の立ち退き期限が来年3月末に迫る中、同センターで11月30日、主催者が「最後のイベント」と位置付けた「NOKISAKIマーケット」が6年ぶりに開かれ、買い物客らでにぎわった。 軒先に雑貨などのお店が並ぶ「NOKISAKIマーケット」は、「にぎわいを創出しよう」と同センター協同組合の牧山直樹副理事長(69)が中心となって2016年に開始。コロナ禍などの影響で18年以来の開催となった今回は、内外から計約40店舗が出店した。 1971年に完成した川口アパートは鉄筋コンクリート7階建て。土地は県、建物は1、2階を県住宅供給公社、3階以上を県が所有し、1階には同センターが、2階から上は計132戸の住宅がある。 築50年を超え、耐震性を備えていないことから県は建て替えを計画。PFI(民間資金活用による社会資本整備)手法を採用し、公募で昨年5月、福徳不動産(長崎市)などで構成するグループを実施事業者に選定した。 計画では、隣接する市所有の川口公園と合わせた約4600平方メートルの敷地に13階建ての公営住宅(80戸)、民間施設、公園が一体的に整備される。今年8月に公営住宅の建設工事が始まり、来年12月に完成予定。住民の転居などを経て2026年度に現アパートの解体に着手、29年度に民間施設の供用が始まる運びだ。 組合は公社から来年3月末までの退去を求められており、新施設への移転も困難なことから、補償などの交渉が続く。牧山さんは約15年前から営んできたマッサージ店を来年2月末で閉じることを決断。イベント運営を切り盛りしながら「にぎやかなセンターは久しぶり。うれしさと寂しさがある。イベントは最後になるが、営業終了まで頑張っていきたい」と話した。 この日は川口公園で活用の可能性を考える催しも同時開催され、家族連れらが餅つきやヨガ体験などを楽しんだ。福徳不動産オーナーコンサルタント部の小森淳部長は開会セレモニーで「これから市の(公園整備の)事業も始まっていく。官民一体となって皆さんで浦上地区を盛り上げていきたい」とあいさつした。