【管理職の悩み】課長になったものの、「2万円」の手当が出るだけで残業代が支給されない…。これは普通ですか?
役職につくと、それまではなかった役職手当がつくようになることがあります。その一方で残業代が出なくなるということもあるようです。 そこで、「課長になったものの、支給されるのは2万円の手当のみで、残業代が支給されなくなった」という場合を例に、それが違法であるかどうか考えていきます。
管理職になると残業代が生じなくなる理由
管理職になると、残業代が生じなくなることも珍しくありません。その理由は「管理監督者」に該当し、労働時間に関して例外的な取り扱いを受けることになるからです。 本来であれば、1日8時間、週40時間を超えた部分は残業扱いとなり、その時間は通常の1.25倍の賃金が生じることになります。例えば時給換算2000円の方が1時間残業した場合、1時間残業するごとに、通常の1.25倍である2500円の残業代を払わなければならない、ということです。 しかし、課長となって役職がつくと、管理職として一定額の管理職手当が支給される代わりに、残業代が出なくなることもあります。その理由の説明の仕方は企業によっても異なるのですが、多くの場合、単に「管理職だから残業代は出ない。その代わりに管理職手当を出している」といわれていると考えられます。
管理監督者の定義について考えていく
ここで「管理監督者」、いわゆる管理職の定義について考えていきましょう。 この管理監督者とは、ただ単に企業内で役職を付けて、取りあえず手当をつけていれば該当する、というわけではありません。単に「課長」と役職につけ、管理職手当を支給したとしても、法律上の「管理監督者」には該当せず、残業代を支給しなければなりません。 労働関係の法解釈における「管理監督者」とは、役職名ではなく、職務内容や責任と権限の度合い、勤務形態、待遇を踏まえて判断されます。 簡単に説明すると、経営者に代わって同じ立場で仕事をする重要な立場にあり、出退勤について厳格な制限がなく、給与含む待遇がその重要な立場にふさわしいものであることが必要です。 そうでないにもかかわらず「管理職だから」と残業代が支給されないのは、いわゆる「名ばかり管理職」になってしまい、適法ではない状態といえるでしょう。そういった場合は、残業代を別途支給する必要があります。