真剣な表情で練習に励む久田さん

　9月上旬、福岡県立浮羽究真館高（福岡県うきは市）のグラウンド。うきは市を拠点に活動するラグビーのクラブチーム「ルリーロ福岡」の練習で、久田侑典さん（31）は屈強な選手たちとともに楕円球を追っていた。「ラグビー選手としてプレーしたい」と同県大刀洗町に移住を決断して1年余り。この日も真剣な表情でパス回しやスクラムを繰り返していた。 【写真】体操教室で指導する久田さん

　大阪府出身。ラグビーをしていた友人の影響で、中学からラグビーを始めた。体をぶつけ合うハードなチームスポーツだが、「日々切磋琢磨する仲間たちと、プレーする中で絆を感じることにひかれ、ラグビーが好きになった」という。

　大学は関東の強豪校に進んだが、チームの方針に納得がいかず、別の大学に編入。卒業後は、ワーキングホリデーで、ラグビーが盛んなニュージーランドに留学し、現地のチームで実力を磨いた。

　1年間の留学から帰国後、国内でラグビーチームのトライアウトを受けたが、縁がなく、23歳で選手活動からは身を引いた。大阪府でジムのトレーナーのほか、大学のラグビー部の指導にもあたった。

　そんな時に、うきは市にルリーロが設立される話を大学時代の先輩から聞いた。先輩からは、「もう一度（選手として）やってみたら？」とも勧められた。何かのきっかけでプレーできるのではないかと、体を作って準備を続けていたため、「これはチャンスだ」と確信した。

　すぐにルリーロの島川大輝代表に連絡し、プレーしたい気持ちを伝えると、「誰でもチャレンジできる舞台をつくっている」と快諾。ただ、ルリーロは母体の企業を持たず、選手たちは地元企業などで働きながら活動しているため、自身もルリーロの紹介を受けて昨年5月、大刀洗町の地域おこし協力隊として同町に移住した。

　現在は、町福祉課に勤務。町が主催する高齢者向けの体操教室で講師を務めながら、週4、5回、ルリーロの練習に参加している。

　今月6日に同町の鳥飼集落センターで開かれた教室には、80～90歳代の女性10人が参加。ジムのトレーナーだった経験を生かし、テニスボールを使ったストレッチや、かかとを上げる筋力トレーニングなどを指導した。