國學院大「101回目のプロポーズ」って何のこと?…出雲で見えた箱根駅伝“総合優勝”の現実味「“3番以内”に逃げない」「メンバー争いの方が怖い」
エース平林と「同等レベルのことができる選手がたくさん」
最後は2位の駒澤大に40秒差をつける会心の走り。まさに主将の意地が試合を決めた印象だが、平林の見方は少し異なるようだ。 「ラストスパート勝負には持ち込みたくなかったですし、ロングスパートは考えていて、中盤のアップダウンで仕掛けて勝負できたことは良かったです」と語る一方で、チーム力についてこう話す。 「みんながつないで先頭で(襷を)持ってきてくれて、上原ありがとうって感じですね。実際、今回は1区から5区のみんなに頼んだぞと声をかけて、上原は安心してくださいと言っていた。練習でも僕と同等レベルのことができている選手がたくさんいるので、本当に良いチームができてきたなと思います」 前田監督も「誰を外すのかで悩んだくらいチーム状態が良い」と話していたが、層の厚さこそが今年の國學院大の強さなのだ。 この優勝で、今季の大学駅伝三冠にチャレンジできるのは、緒戦を制した國學院大のみに絞られた。 はたして、どの駅伝も獲りにいくという監督に、三冠の可能性はどれほど見えているのだろう。そのことを問うと、思いのほか慎重な答えが返ってきた。 「そこはあまり考えないですね。もう一戦必勝で、気づいたら三冠ができていたと。三冠を狙おうとは僕はひと言もいってないので。とにかく1個ずつ積み上げを丁寧にやっていくこと。 今回はうちに流れが来ましたけど、本当に三大学の力の差はないと思ってます。ここからまた区間が増えたり、山の特殊区間がでてくると、もっと複雑になってきますから。ただ、今までの國學院だったらこれで終わりなんですけど、今年はうちもまだ準備している選手がいるので。7番目から10番目までちゃんと青学と駒澤と戦える選手がいます。それをこの後、しっかり証明していきたいなと思いますね」
一番の目標「箱根駅伝の総合優勝」も現実味
学生たちの成長は早く、勝敗はライバル校の勢いやアクシデントなどにも左右される。一つひとつ丁寧に、という言葉には箱根駅伝の初優勝に恋い焦がれる監督の実感がこもっていた。 一戦必勝の意識は、主将の平林らも共有しているようだ。 「一番の目標は箱根駅伝の総合優勝なので、そこは絶対にぶらさずに。それが取れる力があれば、出雲も全日本(大学駅伝)も取れるだろうというのが自分たちのスタンスではあるので。しっかりそこまで、最後まで取りにいけるように頑張りたいなと思います」 駅伝シーズンが始まる前は、トラックでの活躍が目立った青学大の一強との見方もあったが、今季は思った以上の混戦模様となりそうだ。 エース格の一人である佐藤圭汰(3年)を故障で欠きながら2位に入った駒澤大、同じく留学生のスティーブン・ムチーニ(2年)を欠いて4位に入った創価大、さらには予選会から上位で勝ち上がってくるであろう中央大、雪辱を期す箱根王者の青学大など、次は打倒國學院大を掲げて、有力校は戦略を練ってくるだろう。 そんな中でもし、次の全日本を國學院大が制して2冠達成――などということになれば、いよいよ世間もざわつきそうだ。
(「箱根駅伝PRESS」小堀隆司 = 文)
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