スーパースポーツ vs アルトゥーラ vs ヴァンテージ 順当な勝利か番狂わせか? BBDC 2024(7)
究極的にスーパースポーツと強みは同類
レストモッドされたクルマが、BBDC選手権で優勝した過去はない。それでもアナログ・オートモーティブ・スーパースポーツなら、成し遂げる可能性はゼロではない。 【写真】刺激的な「ブリティッシュ」トリオ! スーパースポーツ vs アルトゥーラ vs ヴァンテージ (100枚) そんな無垢な楽しさに満ちた元ロータス・エリーゼ S1と比べると、マクラーレン・アルトゥーラが積むパワートレインの複雑さは好対照。ところが、運転体験は高純度だといっていい。 V6ツインターボのプラグイン・ハイブリッドで、最高出力は700ps。電子制御技術を満載し、車重は倍以上重い。このマクラーレンがスーパースポーツと同じ土俵に登ることは、通常はないかもしれない。だが、ドライバーの充足度ではまったく劣らない。 シャシーバランスに非の打ち所はなく、ステアリングは最高水準に精緻。コミュニケーション力に長け、運転席からの視界は壮観なほど広い。極めて安定性が高く、多元的な動的能力が与えられた、角の丸いスーパーカーだ。 季節や天候を問わず、運転を思い切り楽しめる。リンカンシャー州の公道を、清々しく駆け回れる。直感的で流暢なコーナリングで、乗れば乗るほど中毒性が増していく。究極的には、スーパースポーツと強みは同類なことが顕になる。
ランボルギーニの純正色が似合うマクラーレン
マクラーレンの技術的な磨き込みも、効果的な成果を生んでいる。2022年の発表当初と比較すると、ステアリングは750 S級に感触豊か。回頭性の鋭さやダイレクトさも、アップデートされた感がある。 姿勢制御はタイトながら、加減速時のピッチや、旋回時のロールも感取できる。これが、ドライバーとシャシーとの意思疎通を助けてくれる。加えて、電気的にアシストされるパワートレインのレスポンスは、これ以上ないほど即時的でもある。 「路面の凹凸を越えた時のしなやかさ、ステアリングの素晴らしい重さと速さ、精度、コーナリング時の安定性へ、もの凄く惹かれました。ライバルのミドシップ・スーパーカーより、日常的にも使えるでしょうね」。ソーンダースが出色の印象を振り返る。 「もっと長く乗っていたいと思わせます。刺激が少し足りないという人はいるかもしれません。でもそれは、丁寧に磨き込まれた特徴を、充分に評価できていないのだと思いますよ」。とも続ける。 「このマクラーレンはクールにターゲットを絞り、ラップタイムを狙ったようなモデルとは違います。魂が宿っているように感じます」。ジェームス・ディスデイルが話す通り、アルトゥーラは、ランボルギーニの純正色でも似合うかもしれない。