蓮池薫さん「拉致問題は終わっていない」福井県で講演 地村保志さんと再会、抱き合い喜ぶ
「拉致・特定失踪者問題の早期解決を願う福井県集会」が11月17日、福井県越前市いまだて芸術館で開かれた。新潟県柏崎市の拉致被害者、蓮池薫さん(67)が講演し、「死亡とされている拉致被害者の(死亡の)根拠は何もなく、拉致問題は終わっていない」と約450人の聴衆に訴えた。解決に向け、「核・ミサイル問題と切り離し、人道問題として拉致を位置づけるしかない」と主張。被害者の帰国を条件に食料支援するなどして解決を目指すべきだと強調した。 集会は支援団体「救う会福井」が毎年開催。小浜市の拉致被害者、地村保志さん(69)のほか、県内の特定失踪者家族も登壇した。地村さんによると、蓮池さんと公式な場で再会するのは2002年12月以来。蓮池さんが会場入りすると、出迎えた地村さんと抱き合い、地村さんの妻、富貴恵さん(69)とも笑顔で握手した。 講演で蓮池さんは、拉致された理由を「外国人スパイとして、北朝鮮が我々を利用しようとしていた」と指摘。同様の目的で拉致されたレバノン人が逃走したため、北朝鮮はスパイとしては利用できないと判断し、蓮池さんらは工作員に日本語を教えることになったとした。 47年前に拉致され、いまだ帰国を果たせない横田めぐみさん=失踪当時(13)=にも触れ「非常にもどかしく、(母の)早紀江さんの切ない訴えは胸に響く」と述べた。蓮池さんは帰国直前に北朝鮮当局から「日本政府に対し『日本に帰りたくない。平壌で家族に会いたい』と言いなさい」と命じられたとし、「それを言える拉致被害者と『日本に連れて帰って』と言ってしまう被害者を選別し、帰国者を決めたのではないか」と推測した。 解決に向けては「被害者の親が生きているうちに再会できなければ解決にはならないと、期限を設けて北朝鮮にプレッシャーをかけ、これは日本人共有の思いということを伝えていくべきだ。そのためにも世論を盛り上げていきたい」と話した。
福井新聞社