夫が定年間近で急逝…受け取るはずだった「退職金」はどうなるのでしょうか?
従業員が会社を退職するときに支給される「退職金」は、福利厚生制度の一環として設けられており、企業によって制度の有無や支給額が異なります。 老後の生活資金の計画を、退職金を含めて考えている人も多いでしょう。 今回は、もし配偶者が定年を迎える直前に急逝した場合、受け取れるはずだった退職金はどうなるのかについて、調べてみました。
「死亡退職金」の制度を設けている企業もある
退職金制度がある企業に勤務していた労働者が亡くなった場合、退職者本人に代わり遺族に支払われる退職金が「死亡退職金」です。 死亡退職金は、被相続人(今回の場合は夫)の会社に死亡退職金の制度および規定がある場合は受け取れます。 退職金制度があっても死亡退職金に関する規定が定められていない場合は受け取れない可能性があるため注意しましょう。 また、企業によっては故人の遺族に対して、弔慰金や功労金などを支給するケースもあるようです。 死亡退職金は残された遺族が今後生活していくために、通常の退職金は社員の定着率を高めることなどを目的に支給されます。 退職金の取り扱いは、勤めていた会社の制度や規定によって異なるため、担当者に確認することが必要です。
死亡退職金には相続税が発生する場合がある
死亡退職金は一定条件に当てはまる場合、相続財産と見なされ、相続税の対象になります。 相続財産と見なされる条件は、以下の通りです。 ・もともと被相続人に支払われる予定であったが、死亡により遺族に支給された ・勤務していた本人が亡くなった後、支給される金額の確定が3年以内 ・退職が生前で、支給金額が確定したのが被相続人の死亡後3年以内 死亡から3年を超えて支給が確定した場合は、一時所得として所得税がかかります。 また、弔慰金や功労金となっていても実質、死亡退職金として受け取っていれば、一定の金額以上の部分は相続税の課税対象となる点には注意が必要です。 相続税の計算では「500万円×法定相続人の数」が非課税限度額となります。 ■受け取る人によっては贈与税がかかる場合もある 死亡退職金は、贈与税が課税される可能性もあります。 死亡退職金は受取人固有の財産と考えられ、死亡退職金の受取人として指定されている人から実際に受け取った人への「贈与」として扱われる場合があるためです。 贈与税の基礎控除額は110万円であり、それを超える死亡退職金を受け取ると、贈与税の課税対象になる可能性があります。 死亡退職金の受け取りで不明点があるときは、専門家に相談してみましょう。