隣人ガチャに失敗し、地獄の毎日…「ため息がうるさい」「出ていけ」と嫌がらせ 対処法はあるのか?
これらの数値は一定の参考になると思われます。 もっとも、この数値を少しでも超えたら、受忍限度を超えるというものではなく、他の事情を総合考慮することになります。通常、音の種類にもよりますが、数値を超えている時間の長短、その頻度、程度を考慮することになろうかと思われます。 特に、いびきやため息は、自然と出てしまうものでもあるので、数値の超過の程度が大きく、かつ、超過する時間が長期間、高頻度でなければ、受忍限度を超えるものではないと思われます。 判例には、環境条例における深夜の規制基準は50デシベルであるが、建物の防音効果を考慮すると、建物内においてはより厳格な数値が求められている点を考慮して、最大41デシベルの年に数回程度の歌声について、受忍限度を超えるとしたものがありますが、歌は、生活音とは明らかに異質な音であり、自然に出る音ではない(防ごうと思えば容易に防げる)ことが影響しているものと思われます。
●隣人に退去を求めたり、損害賠償請求できる?
――男性は隣人から、深夜に壁を叩かれたり、玄関のポストを開けられて「いびきがうるさいんだよ!」「出ていけ!」などの暴言を吐かれているそうです。男性は隣人に損害賠償請求や退去を請求できますか。 注意を促すために、壁を少し叩く程度のものだったり、いびきがうるさい旨を伝える程度のものを越えているのであれば、かかる行為により精神的苦痛を受けたとして、慰謝料等の損害賠償請求をすることはできると思われます。しかし、退去を請求できるのは貸主のみですので、貸主でない以上、退去の請求はできないと思われます。 ――男性はできるだけ円満に解決したいとのことですが、現実的にはどのような対応が望ましいのでしょうか。 管理会社を通じて謝罪や対策をしていることなどを隣人に伝えても、納得してもらえず、かえって嫌がらせをされているのであれば、どちらかが退去しない限り、円満な解決は難しいと思われます。 根本的な解決は、どちらかが退去するしかないのですが、それが難しければ、現状できる範囲の対策をしつつ、相手の度を超した行為等については、毅然と、刑事、民事双方の法的手段をとらざるを得ないと思われます。もっとも、民事上損害賠償で認められる慰謝料は低額であるのが現状です。
【取材協力弁護士】 吉田 要介(よしだ ようすけ)弁護士 千葉県弁護士会所属。日弁連子どもの権利委員会事務局次長、千葉県弁護士会刑事弁護センター委員。法律を「知らないこと」で不利益を被る人を少しでも減らすべく、刑事事件、少年事件、家事事件、一般民事事件等幅広く手がけ、活動している。 事務所名 :ときわ綜合法律事務所 事務所URL: https://www.tokiwa-lawoffice.com/