刑務所暮らしで「幸せ」を感じる殺人犯は例外ではない 無期懲役囚が見た「悪党ランド」の実態
「刑務所で暮らすのが幸せ」と言う殺人犯
9月4日、弁護士ドットコムが配信した記事が大きな反響を呼んでいる。紹介されているのは2018年に新幹線「のぞみ」内でナタを用い、2人の女性を切りつけ、1人の男性を殺害し、現行犯逮捕された小島一朗受刑者(28)からの手紙だ。 【写真を見る】“超快適そうな刑務所” 確かに「たったの14年」だと思えるかも〈実際の刑務所の写真〉
公判で小島は、一生を刑務所で暮らしたい、無期懲役がいい、といった希望を口にし、実際に無期懲役の判決が下された時には、万歳三唱をしたという。 同記事で紹介された手紙で、小島は刑務所を「ひどいところだから入らないほうがよいよ」だとしつつも、自分にとっては「素晴らしい」ところで、「私は今とても幸福です」とまで述べている。彼にとって「シャバ」は決して過ごしやすい場所ではなかった、それに比べれば衣食住や医療まで提供して、面倒を見てくれる刑務所のほうがはるかに良いということのようだ。 紹介されている手紙の文面からは、被害者への謝罪の気持ち、反省の念などは一切伝わってこない。その身勝手な「幸福論」は被害者遺族や関係者はもとより、一般の国民の神経を逆なでするに十分なものとなっている。 受刑者の人権問題への意識が高く死刑廃止を訴え続けている日弁連は、「弁護士ドットコム」に掲載されたこの手紙をどのように読むのだろうか。 問題は、小島のような思考パターンの受刑者は、少なからずいるということである。反省や更生からほど遠い、刑務所ライフを送っている面々である。 「内部」からのリアルな証言を聞いてみよう。
無期懲役囚の「死刑絶対肯定論」
2件の殺人で無期懲役となり、現在も服役中の美達大和(みたつやまと)氏は、刑務所の中で独自の論考を発表し続けている異色の存在だ。 本来ならば刑の軽減を求めても不思議はない立場でありながら、美達氏は死刑こそが「人間的な刑罰である」と主張している。 彼がそのような考えに至ったきっかけの一つは、服役囚たちに接した経験だ。美達氏は、著書『死刑絶対肯定論』の中で、服役囚たちの驚くべき実態を明かしている。彼らに「反省」「更生」を求めるなんて無理な話だ、というのが美達氏の主張なのだ。以下、同書から引用しながら見てみよう。