「これが日本の地方暮らしだ!」 茨城・海辺の一軒家宿、訪日外国人客に評判
茨城県北茨城市で英国人のクリストファー・ウッドさん(38)と妻麻未(あさみ)さん(42)が営む宿泊施設「ELM On The Beach(エルムオンザビーチ)」が、アットホームな雰囲気を求める世界中の旅行者から「日本の地方暮らしを味わえる」と評判だ。周辺に有名な観光地がないのに北茨城市へのインバウンド(訪日客)が増えているとのデータもあり、盛り上がりを見せている。(共同通信=岡田健太郎) 【グラフ】コメ上昇5キロ2000円に迫る 高温、訪日客増で需給逼迫
宿は一軒家を丸ごと貸すスタイルで、子どもやペット連れに好評。宿の近くに広がるビーチでサーフィンが楽しめるほか、川でニジマスを釣ったり、地元の神社を巡ったりといった体験も近場でできる。 クリストファーさんは英国中部ハリファクス、麻未さんは北海道石狩市の出身で、2008年に結婚。2男1女をもうけ、クリストファーさんは東京都内で英会話教室を経営しながら、タイ・バンコクでも宿泊施設を運営するなど精力的に活動していた。 転機は新型コロナウイルス禍。仕事の先行きが不透明になったことを機に、日英それぞれの地方で育った夫婦の間で、再び地方で暮らしたいとの思いが強まった。子どもたちが都会以外での生活を体験できるチャンスとも考え、北茨城市の古民家2軒を購入。「海の真横という立地と都内からのアクセスの良さが決め手」と話す。うち1軒を自宅、残る1軒を宿とすることにし、自分たちで改装するなどして2023年初めにオープンした。
訪日客から人気を集める理由について、夫婦は「観光地ではない日本の魅力をじっくりと堪能できる環境が引きつけている」とみる。口コミも広がり、2024年6月までで500人以上が利用。2025年の予約も入り始めた。 地元にも好影響が出ている。経路検索サイトなどのサービスを提供するナビタイムジャパン(東京)が位置情報をまとめたデータによると、訪日外国人数が過去最高を記録した2019年(1~5月)と2023年同時期を比較すると、北茨城市は人数が50.6倍に増え、伸びも全国3位だった。 市の担当者は「市内に積極的に外国人誘致ができる事業者がいることは喜ばしい。さらなる訪日客誘致へ方策を練りたい」としている。