【日本シリーズ2024】何かがおかしいソフトバンク 26イニング連続無得点よりも気になるリリーフ陣への違和感
【終わったことは振り返らない】 その両投手が果たして本来の投球を取り戻せるのか、それもカギだと思われるなかで第5戦にはふたりともマウンドに上がった。 杉山は2回無失点。まだ本調子には見えなかったが、それでも前回に比べれば球の力が格段に上がっていたし、四球を与えることもなかった。尾形は1回無失点。2試合連続で痛打されたショックを振り払うのに十分な投球内容だった。 ところで、である。1年間を通して一軍に定着して安定した成績を収めた杉山はともかく、シーズンの多くはファームにいた尾形がなぜここまで評価されるのか不思議に思う野球ファンも多いだろう。先述したように最速158キロなどポテンシャルの高さには以前から定評があったが、とにかく安定感に欠けていた。今季前半は右肩痛の影響で戦列に加われなかったが、春季キャンプの頃にはかなり高い評価を得ていた。 尾形は昨年途中から、オスナに弟子入りしている。メジャーでセーブ王を獲った実績のある右腕から、トレーニング法やマウンドでの精神コントロールなどあらゆることを教わり、そこからメジャーの野球に興味をもって研究に没頭するようになった。体だけでなく頭も鍛えなければいけないと、シーズンオフには書物を読み漁り、パソコンの前に座って自分自身で相手打者や自身のフォーム、投球内容を分析して資料を作成した。 球速を尋ねると、キロではなくてマイル単位で答えてくるほどのこだわりようだ。ただ、自分がやってきたこと、積み重ねてきたことに自信もついてきたのだろう。話し口調がしっかりしたというか、言葉の内容そのものもずいぶんと大人びてきた。 第5戦の試合後は、こんなことを言っていた。 「前の試合まで打たれたことでモヤモヤしていたとか、そんなことはなく、今日もしっかり準備ができていた。昨日は昨日、大切なのは今日どうするか。だから過去に対することは、いっさい考えていなかったです。オスナにもずっと言われていましたから」