「ラ・マンチャの男」製作発表 幸四郎がサプライズ熱唱
「ラ・マンチャの男」とは?
物語の舞台は16世紀末のスペイン・セビリア。宗教裁判にかけられるために牢獄にやってきたセルバンテスをからかい、囚人たちのリーダー「牢名主」は彼の持っていた芝居の原稿を燃やそうとするが、それを阻止しようとセルバンテスは即興劇の形で申し開きをさせて欲しいという。 そこからその台本をもとにセルバンテス、従者そして囚人たちで、ドン・キホーテの生涯を演じていくという物語だ。ドン・キホーテを演じるのはセルバンテス。ドン・キホーテは宿屋の下働きの女アルドンザを「姫」と称して敬い、姫のために戦うと誓う。 そうしてともに劇を演じるうちに囚人たちは、夢を追い、かなわないような敵にも立ち向かうドン・キホーテの姿や「事実は真実の敵なり」「一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生に折り合いをつけて、あるべき姿のために戦わないことだ」「勇気を出すんだ」といったセルバンテスの言葉に励まされ共感していく。
ドン・キホーテ演じ40年以上
「英雄がいない世の中は悲しいが、英雄を欲する世の中はもっと悲しいという言葉がある」。幸四郎は帝国劇場(東京・日比谷)で演じて以来40年以上、セルバンテスが劇中で演じる“英雄”ドン・キホーテを演じながら、歌や言葉で「人間の志」「夢を叶えようとする心意気」そして勇気を持ち「あるべき姿のために戦うこと」の素晴らしさを伝え続けてきた。
ドン・キホーテが歌い、また最後には一人また一人と囚人たちが歌いだす「見果てぬ夢」という歌は幸四郎自身が届けたいメッセージであり、「お客さまを勇気づけたい、明日も生きていこうという気持ちになってもらいたい」という人生応援の思いでもある。 2012年に上演1200回を迎えたときには、「ラ・マンチャの男」を世に出した脚本家の故デール・ワッサーマンの妻から同ミュージカルがトニー賞に輝いた際のトロフィーを「主人の遺言として、一番ふさわしいあなたに贈ります」と手渡され、涙を流す場面も。息子の染五郎、孫の金太郎から花束を贈られ、共演していた娘たち、アルドンザ役の松たか子、アントニア役の松本紀保からは両ほおに祝福のキスを受けた。