JR北海道H100形、「旧国鉄色」装飾列車導入の狙い 「個性的な車両」で日高本線と室蘭本線の利用を喚起
今回は日高本線と室蘭本線をイメージしたラッピングだが、現時点では設備の関係上、日高本線をワンマン運転で走行できないため、室蘭本線の長万部―苫小牧間と東室蘭―室蘭間で普通列車として運用される。 ■恐竜や馬、炭鉄港を前面に押し出したデザイン 10時20分過ぎ、日高本線ラッピング車両が苫小牧駅に帰ってきた。乗客を降ろした後いったん引込線に入り、室蘭本線ラッピング車両が入線していた4番線ホームに進入。10mほど離れた位置で展示された。ドアが開放され、車内を自由に見学できるようになっている。
日高本線ラッピング車両は、山側と海側でデザインが異なる。日高胆振のアイヌ文化を象徴する紋様が描かれ、それぞれの側面に馬の産地を表すイラストと国内最大の全身骨格化石「カムイサウルス・ジャポニクス」(通称「むかわ竜」)をあしらった。 一方の室蘭本線のラッピング車両は、黒を基調とした車体に警戒色の黄色が目立つデザインだ。石炭輸送に活躍した石炭車セキ3000をモチーフに、線画で地域の魅力を表現した。北海道内で運用された車両には「道外禁止」という文字が配されていたが、ラッピング車両でもこの表記を再現している。
厚真町の担当者にラッピングデザイン決定の経緯を聞いてみると、デザインは沿線市町が話し合って決めたという。「せっかくデザインするのならただ観光資源のイラストを羅列するのではなく、個性的な車両にしよう」という方向にまとまり、個性を際立たせる中にも地域の魅力を詰め込むデザインを模索。さまざまな議論をする中で国鉄一般気動車標準色と炭鉄港を表現する石炭車が良いのではないかという結論に落ち着き、それをベースとして地域の魅力をデザインに取り入れることとした。室蘭本線では2022年に開業130周年を記念して急行「道外禁止号」という臨時列車を運転しており、これと関連づけて1つのストーリーと捉え、鉄道ファンや地元住民に愛されてほしいという思いも込めたという。