老後に備えて「バスの沿線」に家を買いましたが、最近の「ドライバー不足」の話を聞き不安です。狭くても「駅近」に引っ越すべきでしょうか?
老後の生活を見据えてバスの沿線に家を購入したものの、ドライバー不足による減便・廃止が不安かもしれません。その場合、早い段階で住み替えたほうがよいのでしょうか。 この記事では、最初にバス路線の減便・廃止について解説した後、「駅近物件などに引っ越すべきかどうか」について説明します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
【2024年問題】ドライバー不足からバス会社の8割が減便・廃止を選択
2023年頃から全国的にバスの減便・廃止が続いています。その背景にあるのは深刻なドライバー不足です。ドライバーの2024年問題(年960時間の時間外労働の上限)や高齢化、労働環境の過酷さなどが原因と考えられています。 帝国データバンクの調査によると、「2023年以降にバス路線を減便・廃止するバス会社は約8割」という結果が出ています。それにより、全路線の約1割に影響する可能性があるようです。 ドライバー不足の短期的な解決は難しいため、利用者の少ない路線だけでなく、利用者の多い市街地路線に関しても、減便・廃止が進む可能性が高いと考えられています。したがって移動手段をバスに依存している高齢者や、免許を返納した人々にとって、公共交通機関の利便性が低下する可能性があります。 では、早めにバス沿線の土地から引っ越したほうがよいのでしょうか。
バス沿線から引っ越すほうがよい?
路線バスの減便・廃止が沿線の物件に影響するかどうかは一概に言えません。土地や物件の価値は、さまざまな要因が複雑に絡み合うからです。ただし、通勤や通学、買い物などの日常生活に支障をきたし、需要が減少した結果、土地・物件の価値が下がる可能性はあります。 「だったら早い段階で駅近などに住み替えたほうがいいの?」と思うかもしれませんが、必ずしも引っ越しが最善の選択とは限りません。 住居の住み替えにはコストがかかります。新規物件の購入や賃貸契約、引っ越し費用などにより、経済的な負担が重くなるかもしれません。特に駅近物件は需要が高く、価格も高めに設定されるケースが多いため、予算内で適切な物件を見つけるのは難しい可能性があります。 また、交通手段の不便さに関しては、代替手段でカバーできるかもしれません。例えば、自治体が運営するコミュニティバスやデマンド交通(予約制の乗り合いタクシー)が導入されれば、移動の不便さを解消できるでしょう。 他にも、バス沿線に住み続けることで、地域コミュニティとのつながりを維持できます。住み慣れた地域の友人、知人、地域のサポートネットワークとのつながりは、特に老後の生活において重要です。 このように、路線バスの減便・廃止によって物件の価値が下がるリスクはあるものの、住み替えコストなどを考慮したうえで、慎重に引っ越しを考えることが大切です。
まとめ
ドライバー不足によるバスの減便・廃止が進む中で、駅近物件などに引っ越すことは一つの選択肢です。しかし、住み替えコストや代替交通手段の可能性、地域コミュニティとのつながりなどを考慮し、バス沿線に住み続けるという選択肢もあります。 現在の住環境のメリットとデメリットを客観的に把握したうえで、「実際に引っ越すかどうか」を慎重に考えてみてください。 出典 株式会社帝国データバンク 全国「主要路線バス」運行状況調査(2023 年) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部