レジェンド山本昌が選ぶ沖縄キャンプ新戦力ナンバーワンは?
元中日のレジェンド左腕、山本昌氏が評論家2年目として沖縄でキャンプを張る4球団から視察をスタートさせた。その“見抜く力”に定評のあるレジェンドが、沖縄での新戦力ナンバーワンに挙げたのが、阪神ドラフト2位の小野泰己投手(22、富士大)だ。山本昌氏は、5日、宜野湾の阪神キャンプのブルペンに足を運んだが、そのピッチングを見て、「この選手誰ですか?」と思わず関係者に聞いたのが小野だったのだ。 「まだストレートだけだったが、4球団を見た中の新戦力では、一番だった。ストレートの質が僕好み。プロで通用する球だと断言できる。伸び、きれてくるような球質、それと場所がいい。僕が場所というのは、出所であり、リリースポイントのことなんだが、利にかなったフォーム。プロの世界の中でも、上位クラスに入るストレートを投げていた」 ここまで山本昌氏が絶賛するのも珍しい。 1m85cm、75キロの細身の体だが、右肘がしなるように柔らかい。 山本昌氏のチェックポイントは、ストレートのスピードガン表示ではなく、その球質と、投球フォームのベクトルがホームベース上を結んだラインから外れていないかどうかのラインチェック。そして《場所》と呼ぶボールのリリースポイント、打者から見たボールの出所の3点だが、そのすべてを小野は高いレベルでクリア。しかも、ストレートの球質は新戦力のくくりだけでなく、プロ野球全体の中で見ても上位クラスに入っているというのである。 阪神のブルペンで、小野の評判は日々右肩上がり。金本監督も、「素材はドラフト1位くらいの評価がある」とべた褒めだった。阪神をマークしているスコアラー陣の評価もすこぶる高い。 本人は、「10割で投げた。順調にきています」と言うが、まだ変化球は投げておらず、本当のベールを脱ぐのはこれから。第6の先発候補に入ってくるかどうかは、ここから先の実戦での内容が重要になってくるだろうが、期待は大きい。担当はかつてのサブマリン、葛西スカウト。小野は甲子園出場経験はなかったが、昨年も西武にドラフト1位指名されローテーションに入った多和田真三郎を生んだ富士大の次のエースで、最速は152キロをマーク、秋季リーグでは、50イニングで49三振を奪っている。 ロッテが外れで1位指名した佐々木千隼を回避したドラフト戦略に批判を受けた阪神だったが、ドラフト2位で、とんでもない掘り出し物を指名したのかもしれない。