【F1メカ解説】アルファタウリAT04の進化を振り返る。最下位争いから入賞の常連へ……驚異的なジャンプアップ
2023年シーズン、厳しいパフォーマンスで開幕を迎えたアルファタウリ。しかしシーズン終盤に投入したアップデートが大成功し、大きくパフォーマンスを引き上げることになり、入賞の常連となった。 【動画】日本人F1ドライバー角田裕毅から新年のご挨拶! 参戦4年目に向けて「トップドライバーとしての価値を証明したい」と意気込む そんなアルファタウリAT04の進化を、改めて振り返っていく。
■オーストラリアで始まった本格アップデート
アルファタウリは、オーストラリアGPが実質的なアップデート開始となり、その後グリッド上で最も集中的な開発サイクルを進めていった。主な部分はフロアの前方のセクションであり、周囲の気流変化を活用すべく、フェンスの全てに装飾が施されている。
■現行マシンでは、フロアエッジが開発の肝
フロアのエッジウイング、前方部のクローズアップ。上部にフラップが立ち上げられ、下部には3本のストレーキが存在して、4つのトンネル状の気流の流路を形成している。
■最高速とのバランスが重要……ビームウイング
サウジアラビアGPでの、AT04のリヤエンドを撮影した1枚。ビームウイングが2枚で構成されており、下の1枚は中央の衝撃吸収構造を挟んで、左右に1枚ずつ伸びるようなレイアウトになっている。上の1枚は、左右のリヤウイング翼端板を1枚で繋げるような形になっているが、中央部分はエキゾーストパイプを避けるようにレイアウトされている。
■ブレーキ熱をどうタイヤに活かす?
ブレーキディスクのアッセンブリー。フロントもリヤも、ブレーキディスクを全周にわたって覆うようなフェアリングが取り付けられている。これはブレーキディスクをホイールリムから隔離し、タイヤ内部の温度をコントロールするために役立てられているはずだ。
■フロアを活かすために欠かせないディフューザー
オランダGPでのAT04のリヤエンド。この写真は、ディフューザー内部をよく観察することができる。ボートテールと呼ばれるフロアが立ち上がる部分の形状が非常に複雑になっているのがよく分かる。
■現行レギュレーション2年目。リヤウイングの解釈
リヤウイングのフラップと、翼端板の接続部。2022年シーズン、現行レギュレーションが施行された直後は、翼端板とリヤウイングが一体化するような形状のモノが常だった。しかし2023年にはフラップがあたかも単独で存在しているかのようなデザインが流行。アルファタウリもこれに倣った。このデザインにより、ウイング先端で形成される空気の渦を制御しているのだ。