麺用水稲「やわらまる」育成 湯戻し時間短縮実現 農研機構
農研機構は米粉を原料とした即席麺用の水稲新品種「やわらまる」を育成した。栽培適地は関東・北陸地域以西で、でんぷんが低温で糊化(こか)する特徴を持つ。この特徴を生かして、同機構と小林生麺(岐阜市)が共同で、米粉即席麺の湯戻し時間を短縮する技術を開発した。簡便性が高まることで、米粉の用途拡大に貢献しそうだ。 「やわらまる」で開発した離乳食向け米粉即席麺 米粉の即席麺には、小麦粉の即席麺より湯戻し時間が長くかかる課題がある。 「やわらまる」はでんぷんの一成分、アミロペクチンの特性を改良した品種で、でんぷんの糊化温度が「コシヒカリ」など一般品種より約5度低く、糊化しやすい。糊化に必要な熱量も小さく、湯戻し時間の短縮につながった。試食試験では、ちょうど良いと評価された湯戻し時間は、「コシヒカリ」の麺が11分に対し、「やわらまる」の麺では8分となり、3分短縮した。 「やわらまる」の熟期は「あきだわら」「日本晴」と同程度。いもち病に弱いため適切な防除が必要になる。耐倒伏性も十分でないため、極端な多肥栽培は避ける他、縞葉枯(しまはがれ)病の常発地での栽培も避ける必要がある。 小林生麺は同品種の米粉を原料にした麺について、形状などに工夫を加え、離乳食向けとして湯戻し時間5分の即席麺を開発した。今後、カップ入りタイプの米粉即席麺を開発し、国内外での販売を目指す。