小坂菜緒の使い方がニクい…映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』全編に詰まった日向坂46らしさとは? 評価&解説レビュー
映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』が10月25日(金)より公開となる。アイドルデビューから約2年の日向坂46四期生の11人が演技初挑戦にして映画初出演を果たし、メインキャストを務めた本作の見どころを、多角的な視点から紐解いていく。(文・小松加奈)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】 【写真】日向坂46四期生が超カワイイ…貴重な未公開カットはこちら。映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』劇中カット一覧
日向坂46×熊切和嘉監督 異色タッグが実現
日向坂46の11thシングル「君はハニーデュー」でセンターを務めたことも記憶に新しい正源司陽子が主演、四期生全員がメインキャストとして出演する本作は、『鬼畜大宴会』『私の男』『マンホール』『658km、陽子の旅』の熊切和嘉が、「これまでクセのある映画ばかり撮っていましたので、“真っ当な青春映画”を1本くらいは撮影してみたいという気持ちもあり、挑戦することにしました」と語る青春グラフィティ。 描かれるのは、東京を訪れた高校生たちの修学旅行の一幕。班長の池園優里香(正源司陽子)は東京の名所を巡る完璧なスケジュールを立て、班のみんなで巡る自由行動を楽しみにしていた。だが、なぜか全員バラバラになり、待ち合わせ場所で誰とも会えない事態に。 「これはマルチバース?」と池園は混乱するも、一人、スケジュールに則り、東京観光に繰り出す。だが、池園以外の4人の班員たちはそれぞれの思惑を秘めて東京に来ていたのだった。 全員が東京中に散らばるなか、班員の桐井智紗(渡辺莉奈)は、ひとりある場所に向かっていた。実はアイドルになる夢を叶えるため、この“修学旅行”に自身の命運を懸けていて…。
日向坂46四期生へのヒアリングを基にしたキャラクターたち
東京を訪れた修学旅行生たちそれぞれの姿を映し出すにあたり、制作陣は企画段階から11人全員に直接事前インタビューを行い、それぞれの学生時代の思い出や、アイドルになる前のエピソード、東京への想い、彼女たち自身のキャラクターについてもヒアリングを重ねた。それを基に、彼女たちのリアルな物語が盛り込まれた完全オリジナル脚本を作り上げ、配役を決定したという。そんな配役も本作の大きな見どころとなっている。 主人公の池園を演じた正源司は、「ちょっと少年っぽいところが、この映画の主人公にぴったりだと思いました」と熊切監督が語るように、アクティブで男前なところがある池園のキャラクターを等身大で演じ、観る者を引きつける。 池園班の班員・羽川恵(めぐ/藤嶌果歩)と彼女と行動を共にすることになる辻坂美緒(竹内希来里)は、映画の中でも貴重な“恋”パートを担い、2人の友情劇も見どころの一つに。同じく班員の説田詩央里(石塚瑶季)は、推しキャラのグッズを手に入れたい!と、同志の角村若菜(清水理央)、梁取茜(宮地すみれ)、門林萌絵(山下葉留花)と都内各所でグッズを手に入れるために奮闘。個性豊かな4人のキャラクターが織りなす何故か多難な展開に、思わずクスっとさせられる。 都会派女子・枡谷に憧れる花里深雪(平尾帆夏)が付きまわれた班員で東京出身の枡谷綾乃(小西夏菜実)は、東京のヲタ活仲間・満武夢華(平岡海月)と遭遇。花里に自分の本性を隠して3人で行動を共にすることに。見た目も垢ぬけている枡谷が頑張ってクールぶっているところに人間くささを感じてニクめない。そんな枡谷をフォローする満武との友情や、花里のリアクションが新鮮で、距離感のあった3人に妙な連帯感が生まれるのも楽しい。