日銀10月決定会合「主な意見」公表 「時間的余裕という言葉で情報発信する局面ではなくなりつつある」今後の為替による物価の影響に懸念の声も
日本銀行は、10月の金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。会合では、今後の利上げの判断について「時間的余裕という言葉で情報発信する局面ではなくなりつつある」との意見が出たほか、物価の先行きについて、日米の財政政策に伴う為替の影響を懸念する声も出ていた。 10月の金融政策決定会合後、植田総裁は記者会見で、それまで次の利上げ判断にあたって言及していた「時間的余裕」という言葉について、アメリカ経済などのリスクが少しずつ小さくなっていることを理由に、「今後は使わない」と明言していました。 11日に公表された決定会合の「主な意見」では、9人の政策委員のうちのひとりが、「米国経済の不透明感が低下する中で、『時間的余裕』という言葉で情報発信をしていく局面ではなくなりつつある」と発言していました。執行部である正副総裁のひとりの発言とみられます。 ただ、10月会合での金融政策の判断については、アメリカ大統領選直前だったこともあり、「もともと緩やかなペースの利上げを想定している中で、大統領選挙後の状況を含め、今後の展開を見ることはできる」などと、政策の現状維持を支持する意見が複数出ていました。日銀は、10月会合で政策金利を0.25%で据え置いています。 一方、今後の経済・物価情勢については、「実質賃金上昇基調の定着により、個人消費も拡大基調がより明確になるのではないか」「人手不足のもと、中小企業も含めて賃上げの必要性が当然視される状況になっており、来年の賃上げ率も高水準が続くと見込まれる」などと前向きな見方が複数出ました。 ただ、委員の中からは「今後の日米の財政政策の展開とそのもとでの為替相場の動向について、物価への影響を懸念している」との意見が出たほか、「中小企業の経営者からは、『経営に影響が大きいのは金利よりも為替だ』とする声がかなり聞かれる」との意見もありました。アメリカの政権交代を控え、為替の動向が物価に与える影響を懸念する声が目立つ形となっています。