糖尿病は酒で予防できる!? 「肥満の人は飲酒でリスク低下」日本人10万例の研究結果で判明
京都府立医科大学らの研究グループは、「BMI25未満の人は、1日あたりのアルコール摂取量が39g以上の場合に糖尿病リスクが29~36%上昇する一方で、BMI25以上の人はアルコール摂取量に関わらず、飲酒と糖尿病リスクの低下が関連していた」という研究結果を発表しました。この内容について中路医師に伺いました。 【イラスト解説】糖尿病の人が“食べてはいけないもの”
研究グループが発表した内容とは?
編集部: 京都府立医科大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。 中路先生: 今回発表された研究は、京都府立医科大学らの研究グループが発表したもので、研究結果は学術誌「Scientific Reports」に掲載されています。 研究グループは2008~21年に健康診断を受けた40歳以上の日本人10万280人のデータを元に、飲酒量と糖尿病リスクの関連を検討しました。対象者を飲酒によって1日あたりに摂取する純アルコール量に換算して分けると、「非飲酒グループ:35.1%」「22g未満グループ:36.9%」「22~39g未満グループ:17.7%」「39~66g未満グループ:8.7%」「66g以上グループ:1.6%」という割合になりました。研究では中央値で7年追跡しており、追跡期間中に2型糖尿病を発症したのは全体の7.3%の7510例でした。発症率は、非飲酒グループで6.9%、22g未満グループで6.8%、22~39g未満グループで7.8%、39~66g未満グループで9.6%、66g以上グループで9.2%でした。 BMIの数値が25未満か以上かで糖尿病リスクを検討したところ、BMI25未満で非飲酒グループを基準に考えると39~66g未満グループでリスクが29%高くなり、66g以上グループではリスクが36%高くなりました。しかし一方のBMI25以上では、飲酒の量にかかわらず糖尿病リスクが24~30%低くなるという結果が示されました。 研究グループは「摂取量にかかわらず飲酒の有害作用を示すエビデンスがあることから、糖尿病予防のための飲酒は推奨されない」と注意喚起もおこなっています。