若年層の「テレビ離れ」は本当に進んでいる? 所有率や視聴時間、広告市場から読み解く現状
2021年にインターネット広告費はマスコミ4媒体を逆転済み
若者の視聴動向の変化などに伴い、企業が出稿する「広告」の動向も変化が強まっています。たとえば2021年には、インターネット広告費がテレビ、新聞、雑誌、ラジオを合わせたマスコミ4媒体の広告費を上回りました(電通調査・2021年時点)。 2021年のインターネット広告費は、インターネット広告費が2兆7,052億円(前年比21.4%増)。テレビを含むマスコミ4媒体の広告費が2兆4,538億円(前年比8.9%増)。インターネット広告費がマスコミ4媒体を大きく上回る傾向は、2021年以降、加速度的に強まっています。 2023年時点ではインターネット広告費は3兆3330億円と過去最高を記録し、日本の総国費の45.5%を占める規模まで拡大。一方でマスコミ4媒体の広告費は2兆3161億円に留まっており、先のご紹介した2021年時点のデータと比較して微減傾向が続いています。
アメリカではテレビ視聴時間における「テレビの割合」が50%を下回る
もっとも、ここまでのデータだけでは「テレビを見ずに、スマホを見るようになった人が多い」ので「それに合わせて企業もネットに広告を出すようになった」程度のことしか言えないかもしれません。では「テレビ視聴時間」だけに計測対象を絞った場合、テレビはなお見られていると言えるのでしょうか? 実は一見、テレビを見ているように見える時間でも「実際にはNetflixを見ている」という傾向は強まってはいないのでしょうか。この点については、アメリカのテレビ視聴行動に関する調査データが興味深い結果を示しています。
米メディア測定会社ニールセンが2023年8月に発表したテレビ経由のストリーミング視聴時間に関する調査によると、アメリカでは「ABCやCBSなどテレビ局」や「ケーブルテレビ」が視聴時間を占有する割合が50%を下回ったとのこと。 一方、ストリーミングサービスの占有率は38.7%まで上昇し、過去最高を記録しています。特に、YouTubeとNetflixの人気が高く、両者で総視聴時間の約18%です。 つまり、少なくともアメリカでは「テレビを見る習慣がある人たち」であっても「テレビ局の番組を見るとは限らない」と言えるでしょう。従来型の「テレビ放送」から「インターネットを介した動画配信サービス」への移行が海外でも潮流となりつつあり、その傾向が顕著に数値に現れ始めているようです。 ■テレビ離れは視聴時間減少に留まらない「メディア消費の変化」 総じて「若年層の単身の男性」を中心に急速にテレビ離れは進んでいると言えるでしょう。海外にも目を向けるとアメリカでは「テレビを視聴している時間」のみで集計しても、ABCやCBSなどのテレビ局とケーブルテレビを合わせた視聴割合が50%を下回っています。 テレビ離れは「テレビではなくスマホを見るようになった」に留まらないメディア消費の変化と言えるかもしれません。国内でスマートテレビやチューナーレステレビがさらに普及した場合、アメリカのように日本でも「テレビ視聴している時間の内訳」だけで見ても、地上波やNHKが占める割合が激減していく未来がそう遠くないのかもしれません。 参考元:【民放online】
オトナライフ