中国電池CATL、江西省の一貫生産拠点を部分停止 採算割れの選鉱場、リチウム相場の低迷響く
世界最大の車載電池メーカーである中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が、江西省宜春市に持つリチウム選鉱場の操業を停止することがわかった。 【写真】CATLの電池生産ライン その理由は、中国国内のリチウム相場の低迷により採算が合わなくなったことだ。電池向け炭酸リチウムの直近の市場価格は1トン当たり約7万3000元(約146万円)と、1年前より約6割下落している。 これに対し、CATLが宜春市で採掘するリチウム雲母は鉱石の品位が低く、炭酸リチウムの製造コストは1トン当たり11万元(約221万円)以上と市場価格を大幅に上回る。そのためCATLは、(選鉱場の操業を維持して)今後も長期にわたり赤字を垂れ流すことはできないと判断した模様だ。
■電池工場は操業を継続 CATLは宜春市に大型の電池工場も持つが、リチウム選鉱場の操業停止の影響は受けない見込みだ。というのも、電池工場で使用する炭酸リチウムはより安い供給源から調達可能だからだ。 財新記者の取材によれば、リチウム選鉱場の稼働率は直近で50%を割り込んでいた一方、電池工場はフル操業に近い状況を維持していた。 リチウム雲母の埋蔵量が豊富な宜春市は、中国の電池業界内で「リチウムの都」と呼ばれている。CATLはそこに、鉱石採掘から電池製造まで一気通貫で手がける体制を築いた。
同社は2021年9月、宜春市政府との戦略提携に調印。第1期プロジェクトとして総額135億元(約2709億円)を投じ、年間生産能力50GWh(ギガワット時)の一貫生産拠点の建設に着手した。当時の炭酸リチウムの市場価格は1トン当たり17万元(約341万円)を超えていた。 翌年の2022年4月、CATLは宜春市奉新県にある「梘下窩鉱区」の採掘権を8億6500万元(約174億円)で獲得。当時の報告書によれば、この鉱区ではリチウム金属換算で265万トン以上が採掘可能であり、投資額は21億5800万元(約433億円)と見積もられていた。