人手不足など諸課題解決へ キャッシュレス決済のメリットとは アメリカン・エキスプレス加盟店事業部門 谷川美紀副社長
国が推進するキャッシュレス決済。経済産業省によると、日本の23年度は個人消費者決済が牽引し過去最高の39・3%を達成したが、遅れているのがB2Bの企業間決済だ。それについて「クレジットカード活用によるメリットを十分に伝えきれていない」と話すのはアメリカン・エキスプレス(以下アメックス)で加盟店事業部門 副社長 谷川美紀氏。アメックスの企業間カード決済活用により、外食産業界(業務卸、店舗)の課題である「人手不足」「労働時間削減などの働き方改革」「若い世代の人材確保」などで改善効果が大いに期待できるという。また、アメックスには他カード会社にはあまりない「大きな特徴がある」とも語る。業務卸と飲食店、それぞれのメリットを中心に話を聞いた。 ――貴社の概要と特徴を教えてください。 アメックスカードは、一般的に個人カードのイメージが強いかもしれないが、企業間決済では多くの業務卸や飲食外食店にご活用いただいており、カード導入メリットとして、ある業務卸からは「業務効率改善で、食材を売るという本来の業務に集中できるようになった」「カード訴求できるメリットが分かりやすいので、取引拡大につながった」などの声をいただいている。ただ、企業間決済は、まだ多くはないのが実情。 当社は、業務卸や飲食店などにアメックスカードを取り扱っていただき、決済できるインフラを整える「加盟店事業部門」と、実際にカードを発行する「カード事業部門」が、同じ会社にあることが大きな特徴。他社カード会社は、両事業が別企業の場合が多いが、当社はこの2つの部門が同じ会社で連携できるからこそ、業務卸会社の営業には有益な情報やサポートを提供しながら、顧客である飲食店オーナーへの個々のサポートも可能という特徴がある。 ――企業間決済が遅れている理由は。 銀行振込など「いつもの方法だから」という既存の商習慣が主な理由としてあるので、アメックスのカードの一括決済によるメリットをしっかりお伝えしていく。また手数料が不安という意見には「手数料以上の付加価値」を提供していく。 ――飲食店、業務卸それぞれがアメックスカードを導入するメリットは。 まず飲食店は、経理業務の手間軽減のほか、コストの一元管理による見える化、キャッシュフロー改善、ポイント付与も非常に好評を得ている。 業務卸は、前述の飲食店メリットを提案することで「卸売業としてのさらなる価値」につなげていただいている。実際、アメックスのカード導入済みの業務卸からは「帳合増による売上拡大」「新規顧客開拓に大いに活用できた」との声をいただいている。 業務卸自体のメリットは、集金業務の負荷軽減、現金回収のリスク回避、与信管理強化などがある。与信管理では、アメックスを通した取引先は審査を経たカード会員なので、特に新規取引におけるリスク軽減につながる。また各店舗への集金業務は時間外労働につながりやすいし、現金回収の場合はリスクも高くなり若手の離職が課題とうかがう。アメックスのカード導入でリスクの高い業務の削減につながるので、こういったマイナスイメージがある業務の削減に努める企業姿勢が企業の魅力向上につながり、各社の若い世代の人材確保につながると考えている。 その他、アメックスのカード導入によるポイント付与の提案では、原材料価格高騰の見積もりが通りやすくなったという事例もいただいている。 ――今後の取り組みについて。 引き続き企業間カード決済サービスを通して食品・飲食業界の課題解決に貢献していく。業務卸と飲食店をつなぎ、双方が効率良くビジネス拡大ができるよう弊社が併走することで、業界全体の活性化の一助になりたい。