<特権を問う>防衛省、米軍に六本木ヘリポートの設置基準確認へ 安全面で懸念の声
防衛省は18日の衆院国土交通委員会で、東京・六本木にある在日米軍ヘリポートがどのような設置基準に基づいて運用されているか、米軍に確認する方針を明らかにした。周辺で高層ビルが増加しており、立地する港区が昨年、安全面での懸念を伝えていた。防衛省が津村啓介議員(立憲民主党)の質問に対して答えた。 【写真で見る】超高層ビルが15棟に 六本木ヘリポートの環境変化 在日米軍の航空施設は日米地位協定によって日本の航空法が定める設置基準が適用されず、米軍が独自の基準で運用している。防衛、国交両省はこの日の委員会で周辺ビルの高さをはじめとした六本木ヘリポートの設置基準を把握していないことを明らかにした。 六本木のヘリポートは米軍施設「赤坂プレスセンター」内にある。首都圏郊外にある横田基地(東京都福生市など)などから米軍幹部らを乗せた軍用ヘリがほぼ毎日、複数回往来し、米陸軍ヘリ「ブラックホーク」や「チヌーク」などの大型ヘリも離着陸する。毎日新聞の調査では米軍ヘリが都心で日本の高度基準を下回る低空飛行を繰り返したり、高層ビルの間をすり抜けたりする飛行も確認されている。 港区によると、ヘリポートから半径約600メートルに2012年に11棟だった高さ60メートル以上の高層ビルが昨年8月時点で15棟まで増えた。昨年2月、地元・港区の武井雅昭区長(当時)が、米軍の窓口となる防衛省に「開発で高層ビルが建ち並ぶ一帯となり環境が大きく変わってきている」と安全面での懸念を伝えていた。 毎日新聞の調査では、半径約1キロのエリアに高さ100メートル以上の超高層ビルが既に11棟あり、建設中か計画段階のビルも6棟ある。 日本の航空法が定めるヘリポートの設置基準には、衝突防止のため一定の高さのビルがあるエリアには離着陸ルートを設定できないルールがあり、米軍が採用する基準にも同種のルールがあるとされている。 18日の国交委では防衛省地方協力局の森田治男次長が「米軍がどのような基準で飛行の安全を確保しているのか情報がない」と説明。その上で「引き続き安全面に配慮して地域に与える影響を最小限にするような運用を求めてまいりたい」「米側から運用上の支障が生じているような状況は聞いていないが、仮に安定的な運用に関して課題が生じるような場合には適切に対応したい」と述べた。 赤坂プレスセンターは終戦直後の1945年9月に米軍が接収した旧日本陸軍の駐屯地に設けられた。東京都と港区が騒音や事故への不安があり、街づくりの障害にもなっているとして返還や撤去を求めているが、米軍は応じていない。今年11月には、米軍が横田基地に置く在日米軍司令部を赤坂プレスセンターに移転することを検討していると報じられた。【大場弘行】