【車いすラグビー日本代表/2024クアードネーションズ】パラリンピック開幕まで4か月。日本は勝利を逃すも「チャレンジ」を貫く
スムーズな連係も、長年にわたり代表チームで培ってきた時間と経験が成し得る技だ。加えて、2022年に開催されたローポインターのみが出場する世界大会で、イギリスは金メダルを獲得している(日本は銀メダル)。主にディフェンスを担うローポインターのスピードと強さ、プレーの質も、レベルの高さを見せつけた。 その熟練さに比べると粗削りなのは否めないが、若き日本代表は一瞬たりとも走ることをやめたり、あきらめることなくボールを追い続け、そのハードワークは観客を飽きさせることがなかった。 流れを引き寄せたかと思えばすぐに戻され、けっして楽な時間帯はなかったが、懸命にトライを奪うとベンチから大きな声があがり仲間を鼓舞した。日本が目指すラグビー、地道に積み上げてきた自分たちがやりたいラグビー、それがしっかりと伝わる試合だった。 チャレンジだらけの32分間の末、47-58と日本は大敗を喫した。けれども、誰ひとりとして下を向いてはいなかった。 試合終了をコート上で迎えた壁谷知茂は「ずっと苦しかった」と率直に心境を述べるも、「結果は振るわなかったが、ベテランのハイポインターがいない中で、みんなが合宿で取り組んできたこと、準備してきたことをちゃんとやろうとしていた。 強豪を相手に、これが通用しないんだと知れたことが大きな収穫になる。チームにとってすごくいい試合だった」と、冷静に振り返った。 イギリスチームが勝利し歓喜に沸く会場。観客からは最後まで戦い続けた若き日本代表にも大きな拍手が送られた。 トライアンドエラーを繰り返し、飛躍するための経験を積み重ねる、車いすラグビー日本代表。 大会2日目の4月17日は、予選ラウンド最後の試合となるアメリカとの一戦に臨む。 【2024 Quad Nations 車いすラグビー日本代表】 倉橋 香衣 0.5F 長谷川 勇基 0.5 安藤 夏輝 0.5 小川 仁士 1.0 草場 龍治 1.0 乗松 聖矢 1.5 中町 俊耶 2.0 壁谷 知茂 2.0 池 透暢 3.0 池崎 大輔 3.0 白川 楓也 3.0 橋本 勝也 3.5 ※数字は障がいの程度や体幹等の機能により分けられるクラス(持ち点)。数字が小さいほど障がいが重いことを意味する。 ※「F」は女性選手。 (文: 張 理恵)