MF水野凪斗「もうどうなってもいいと思って」無我夢中で飛び込み、興國をインハイ初出場に導く決勝ゴール
興國が令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選で優勝を飾り、インターハイでは初の全国大会出場を決めた。 【フォトギャラリー】興國vs関大一 インターハイ初出場がかかった準決勝の関大一戦。後半に先制されながらすぐさま1-1に追いついた興國。63分にはFW29小笠原啓太(3年)と同時投入で2年生のMF8水野凪斗(FCフレスカ神戸)がピッチに立った。 「後半が始まってずっと出たかった」と出番を待ち続けた水野。後半残り7分+AT、残り時間で自分が決めてヒーローになるつもりでピッチに入ったが、得点を奪うことはできず、思い通りにはいかなかった。そしてCKからDF3的羽航人(3年)のヘディングシュートが枠の上を通過して後半終了のホイッスルが吹かれた。 「後半最後に出てからもなにもできなくて、自分の中で凄く悔しくて」と無力感に潰されそうになった水野だったが試合はまだ続く。10分ハーフの延長戦、「チームメイトが頑張っている分、先輩のためにも決めないとダメだ」と顔を上げた。 そして迎えた延長前半8分、興國は左サイドのスローインからDF4高橋怜生(3年)がクロスを入れると、水野とともに投入された小笠原啓太がファーサイドで折り返したところに「普段はあまりやらないですけど、もうどうなってもいいと思って」と無我夢中の水野が泥臭く頭から飛び込む。関大一DFがクリアする手前で水野の頭が先にボールに到達。するとこれがゴールネットを揺らし、水野が逆転ゴールを決めた。 その後、さらに1点を追加した興國は関大一を3-1で下し、悲願のインターハイ初出場を決めた。 興國の歴史に名を刻む決勝ゴールを挙げた水野。「最初はスタメンで出られたんですけど、進むにつれて出れなくなってきて、自分自身結構メンタルも落ちていたんですけど、やっぱり試合に出られていない選手も沢山いるので、その分も自分が変わって、チームを勝たせる存在になれるように、日頃の練習からやっていました」。今までの自分のプレースタイルでは飛び込まなかったシーン。それでもこの舞台が水野をあそこで飛び込ませた。ここまでの道のりで味わった浮き沈みや葛藤が生んだゴールと言えるだろう。 「千葉大舞くんの代の選手を見てきているので、やっぱり見ている人に(興國は他と)全然違う強さだと思ってもらえるようなプレー」と先輩たちのプレーに憧れて追いかけてきた水野が、その先輩たちも届かなかった場所の扉を開いた。 競争が激しい中、試合に出るにはどうしたらいいのか、という話では「やっぱり自分は得点を決めたり、しっかり結果を残すところ。止めて蹴るの簡単な技術をしっかりやるところが大事だと思います」と、難しく考えるよりもシンプルに基本的なことが大事と、自分に言い聞かせるように話した水野。 「全国で名を残せるようにやりたい」 福島県で7月27日に開幕するインターハイ。全国出場を決めても、自分がそこに行ける保証はない。まずはメンバー入りへ、全国で名を残せるように、ここからまたチーム内の競争が始まる。 (文・写真=会田健司)