元ソフトBの大隣には巨人が熱視線!トライアウトで生き残ったのは誰?
通算52勝の左腕、大隣のストレートのキレ、コントロールが素晴らしかった。 「人生の分岐点。久しぶりに“ど緊張”した」 その緊張感を力に変えるのがベテランの力である。 「自分らしさは出せた。今の100パーセントは出せたと思う」 元巨人の松崎啄也(25)には139キロのストレートをアウトコースにズバッ。見逃しの三振を奪うと、続く元楽天の北川倫太郎(24)には、この日のマックスである141キロを出して、最後はまた140キロのストレートをコーナーギリギリに決めて微動だにさせなかった。 フォームがまったくぶれず、いわゆるラインにボールが入っていた。 3人目の元横浜DeNAの山崎憲晴(30)には右中間を破る二塁打を打たれたが、「大学時代(大隣が近大で山崎は横浜商大)から良く知っているバッター。思い切って投げていこうと思ったが、一枚相手が上でした」。続く地元の元広島、多田大輔(21)も三塁ゴロに打たせてとった。 巨人の鹿取GMが「よかったね。球持ちがいい」と言えば、中日の松永編成部長を「シーズン中より良かったんじゃないですか?」と、驚かせるほど制球力と共にボールはキレていた。今季は4月22日の楽天戦に1試合先発したのみ。それも4回もたずに6失点KOされている。その後、選手層の厚いソフトバンクの先発ローテーに食い込むのは、容易ではなかった。 難病の黄色靱帯骨化症から復活したが、2年前には左肘を手術した。戦力外を通告されたとき引退の2文字は頭をよぎらなかったという。 「できる自信がまだまだある。今の気持ちの中で引退という2文字までは出てこなかった」 そして、こう続けた。 「自信はあるし、どこかでチャンスをもらえれば準備はできている。家族に1年、2年でも長く野球をするところを見せたい」 広島は10年前のセパ交流戦でプロ初勝利を上げた場所。「そのこともいい方向に働けば」。 一方でネガティブな意見も、某球団の編成担当から聞かれた。 「経験やボールのキレ、ここは文句なかった。でも、まったく下半身が使えていなかった。粘りがないのだ。打者4人に凄みを見せたが、彼の場合、中継ぎはできないから、先発として5回3失点というピッチングをシーズンを通してできるかどうか。おそらく今日のような調子の波がいいときは十分に通用するだろうが、あの粘りのなさでは1年間は無理だと思う。それでもいいから欲しいというチームもあるのかもしれないが」 大隣のような実績のある投手がトライアウト参加しなければならないほど、具体的なオファーが出てこなかった理由は、そのあたりにあるのだろう。 だが、左の先発は非常に貴重で喉から手が出るほど欲しいチームもある。 鹿取GMは「これから検討します」と言った。その反応からすれば巨人を筆頭に、ヤクルト、ロッテ、中日らの複数球団が獲得に向けて本格調査に乗り出す可能性が高い。