石坂浩二「大きなチェンジとなると、やはり“石坂浩二”という名前になった瞬間」石井ふく子との出会いが人生の転機に
御年83歳。NHK大河ドラマに、“大型時代劇”と呼ばれた第1作『花の生涯』から、これまで主演を含めて、実に11作に出演してきた石坂浩二。来年は、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で12作目の出演を果たす。今年は映画も2本公開。趣味の広さや博識な姿で、俳優業以外でも知られ、「芸能界に石坂浩二あり」の存在だ。そんな大ベテラン・石坂さんのTHE CHANGEとは──。【第4回/全4回】 ■【画像】約30年ぶりの共演!『海の沈黙』で石坂浩二の妻役を演じている小泉今日子との豪華ショット 俳優として活躍を続ける石坂さん。注目され始めたのはTBSドラマへの出演が大きいが、1967年には劇団四季に入団している。 「役者としての自分の転機を考えると、一番いろいろ言われたのは浅利(慶太)さんですね」 ※浅利慶太(1933~2018)劇団四季の創業者のひとりであり、芸術総監督を務めて劇団四季を大きく成長させた。 「私は演出部だったので、演出助手として鍛えていただきました。そのころ、私は小さな劇団にも入っていて、それはそのうちやめてしまいましたが、浅利さんの姿から、ものの作り方みたいなことを見ていきました。それから声を変えました。自分の声を」 ──声を変えた? 「この声、いましゃべってる声ですけどね。このころに作った声なんです。もとは高かったんですよ。いまはもうこの声になってしまいましたけど、高い声で歌えと言われたら、実は歌えます」 ──石坂さんといえば、いま目の前でお話されてるステキな声で、ナレーションなどもそのイメージです。 「当時、そんな高い声じゃ、舞台でもイメージと違うし“もっと低くしろ、低くしろ”と言われまして、そのころボイストレーニングという言葉はありませんでしたけど、でもどうにかトレーニングして声を低くしたんです」
大きなチェンジは「やはり“石坂浩二”という名前になった瞬間」
──石坂さんの声にそんな秘密があったとは。ところで石坂さんといえば、「へーちゃん」の愛称も浸透しています。 「浸透してるって、おかしいんですけど。親しくない人に呼ばれたくないですからね。一番いけないのは(大橋)巨泉さんなんだと思うんですが」 ※大橋巨泉(1934~2016)テレビタレント、放送作家、政治家。『11PM』『クイズダービー』『世界まるごとHOWマッチ』『ギミア・ぶれいく』など多くの人気番組の司会を務めた。 ──確かに巨泉さんが、テレビで「へーちゃん、へーちゃん」と広めた印象です。 「あの人、そんなに親しくなかったころから“へーちゃん”って言ってたんですよ。その後、親しくなったから許してましたけど。あと巨泉さんもですけど、やっぱりテレビですよね。テレビが浸透させた。あと愛称じゃなくて、本名ですけどね」 ──そうですね(苦笑)。「石坂浩二」の名前は本名ではなく芸名になるわけですが、いまではもう、こちらの名前のほうがしっくりきますか? 「しっくり? それはないですね。しっくりと感じた瞬間はないです」 ──そうなんですか? 「みなさん、そう呼んでくださるので、自分の名前だなとは思いますけど、“しっくり”とはならないですね」 ──大河ドラマの主演でバーン!と名前が出てもですか? 「単なる名前、名称ですから。仕事場ではだいたい役名で呼ばれますし。とはいえ、自分にとっての大きなチェンジとなると、やはり“石坂浩二”という名前になった瞬間であることは間違いないです。その前にまず、石井ふく子さんとの出会いが大きいわけですが」
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