明秀日立元エースが大学初完投 「絶対ドラ1」の約束果たすべく成長続ける最速153キロ右腕【仙台六大学野球秋季新人戦】
<仙台六大学野球秋季新人戦:東北福祉大3-1仙台大>5日◇決勝◇東北福祉大野球場 5日、仙台六大学野球秋季新人戦の決勝が行われ、東北福祉大が仙台大を3対1で下して3季ぶりの優勝を決めた。東北福祉大は今年、春秋のリーグ戦と春の新人戦でいずれも仙台大に全敗してタイトルを逃していただけに、意地を見せる1勝となった。 【動画】編集部厳選!秋の2025ドラフト期待度ランキングTOP20を発表! 東北福祉大は2回、9番・小山 凌暉内野手(2年=東海大菅生)と1番・佐藤 悠太外野手(2年=報徳学園)の連続適時打で2点を奪い先制する。3回にも1点を追加すると、先発の最速153キロ右腕・猪俣 駿太投手(2年=明秀日立)が9回136球11奪三振1失点と力投しリードを守り切った。 猪俣は試合後、「仙台大にはずっと負け続けていたので、今日は絶対に勝ちたかった。試合前から最後まで投げるつもりでいました」と清々しい表情で口にした。9回完投は大学では練習試合も含めて初。序盤は150キロ前後の直球主体の投球で組み立て、終盤は変化球も織り交ぜながら仙台大打線を封じた。 猪俣にとって今年は飛躍の年だった。春のリーグ最終戦で150キロ台を連発する衝撃デビューを果たすと、秋のリーグ戦では開幕節から先発を任された。先発ローテーションを守り抜き、5試合、22回3分の2を投げてリーグトップの防御率0.79をマーク。最優秀投手賞とベストナインの個人2冠に輝いた。 自身がリーグ戦で経験を積む中で手応えを感じたのが、メンタル面の成長。ピンチの場面や失点したあとに落ち着いて投げられるようになったといい、この日も6回に3連打を浴びて1点を失って以降、冷静に投球を立て直した。 一方、仙台大戦は苦い思い出が頭をよぎる。春秋ともに好投するも勝利にはつなげられず、春の新人戦は救援登板で5回4失点と打ち込まれた。悔しさを晴らすべく、この日は初回からフルスロットル。マウンド上で「取り返したい」との思いを体現し、何度も吠えた。 明秀日立時代は3年時にエースとして春夏の甲子園を経験。当初は高卒でのプロ入りを目標にしていたが、両親の意向もあり一転、進学を決意した。進学時に両親とは「4年後、絶対にドラフト1位でプロにいく」と約束。1年目は春先に右肘の靭帯を損傷し長期離脱したものの、2年目にチャンスをつかんだ。 「最初の1年を棒に振ったからこそ、この冬が大事になる。より濃い冬にして、春にまた『成長した』と思ってもらえるような投球をできるようにしたい」と猪俣。味わった屈辱と歓喜を力に変え、勝負の冬を過ごす。