「お帰り…」亡き夫そっくりの人形を妻は抱きしめた 作家が布人形に込める”魂”
RKB毎日放送
柔らかな表情を見せる人形。実在する人に似せた”そっくり人形”。亡くなった人の思い出を大切にしたい依頼者の気持ちに寄り添う、人形作家の女性を取材しました。 【写真で見る】「大切な人」 人形でいつまでも 人形作家江口さんの作る人形たち ■かわいらしい仕草「ほのぼの布人形」 「男:1本三十円にまけんかい!女:うんにゃー、そがんまけられん、四十円ばい!」 「女:爺さんの分まで、あと少しだけ長生きさせて…」 「男:飲んだとは良かばってん、母ちゃんのえすか(こわい)顔のチラチラすっばい!!女:あらそがんね、また来てね」 柔らかな表情やかわいらしい仕草で、今にも動き出しそうな人形たちに添えられた言葉です。福岡県久留米市で開かれている「ほのぼの布人形展」には、昭和の懐かしさを感じさせる45体の人形が展示されています。 客「いいですね、最高です。懐かしい思い出がよみがえってくる」「すごいリアルですね。私たちが小さい時の親の思い出が。こんな風に、かまどで火をたいて、じいちゃんばあちゃんがへそくりをしていたな、と」 ■「大切な人にそっくり」な人形に触りたい この人形たちを作ったのは佐賀市の人形作家、江口美千代さん(76歳)です。 ほのぼの創作布人形工房 江口美千代さん「昭和の懐かしい記憶の中の風景がテーマ。顔の表情は『人形らしく』ではなく、見ると誰かに似ているひょうきんな顔とか、おじちゃんに似てるおばあちゃんに似てるような顔を主に作っています」 人の写真と一緒に飾られている人形は、その人をまねて作られた”そっくり人形”です。「亡くなったおばあちゃんにいつまでも隣にいてほしい」という家族の依頼で作りました。 ”そっくり人形”を作り始めたのは25年前。知人に「結婚で家を出る娘のウェディングドレス姿を人形にしてほしい」とお願いされたのがきっかけでした。これまでに約400体を制作してきました。 江口美千代さん「大切なご家族だから、パターンはいろいろあります。ご両親、お子様、おじいちゃん、おばあちゃん。写真でなくて、こういう立体的なお人形にしてちょっと触ったりしたいということで」