山内圭哉とクレイジーな福田転球が自由にできる場所、大阪に
ともに大阪出身で、関西小劇場界で演技と笑いのスキルを磨き、今はドラマから舞台まで多方面で活躍している俳優・山内圭哉と福田転球。2人が2002年から不定期に開催しているコント企画『2Cheat(つーちーと)』が11・12月、2年ぶりに大阪・東京で上演される。 【写真】インパクト大のポスター 山内曰く、福田の「アドリブの方がうまく演じられる」という特性を活かし、本企画は大部分を即興で演じるというスリリングな一期一会の笑いが魅力。一度見たらリピート必至なこの公演に向けて、山内と福田がときにゆるく、ときに熱く語ってくれた。 取材・文/吉永美和子
■ 「福田転球は、すごくクレイジーなアーティスト」(山内)
──お2人とは2019年に、13年ぶりの公演となった『2Cheat4』以来の取材です。あのときはだいぶ間が空いたのに対して、最近は隔年ペースで上演されてますね。 山内 「13年ぶりにやったときに『あ、そうか!』って思ったのが、今・・・特に東京では福田転球って、『真面目な芝居をする人』という認識になってるんですよ。このところ、そういうお芝居ばっかりやってはったから」 福田 「真面目なのを選んでいたわけじゃないけどね。なぜか声がかかることが増えてん」 ──前回お話をうかがったとき、「きっちり演劇のスキルを付けた状態でやるのが楽しみ」みたいなことをおっしゃってましたけど、やはり手応えが違いました? 山内 「全然それはなかった(一同笑)。だって演技スキルを使うようなことをやってないからね、内容として」 福田 「ひとつも変わってなかったです」 山内 「でも思ったより『転球さんって、こんなにおもしろい人だったんだ。知らなかった』という反応が多かったんですよ。だから僕らオールドファンとしては『いや、その認識はまちがってるぞ! 福田転球というのは、すごくクレイジーなアーティストだぞ!』と言っていかんとあかんなあ、もっとやっていこうという感じになりましたね」 ──12月の東京公演の会場は、今年山内さんがオープンしたバー「ニュー・サンナイ」(東京都中野区)ですが、山内さんがお店を持ったというのに、まずビックリしました。 山内 「お店とか、全然やる気なかったんですよ。最初は稽古とか、内輪の飲みに使えるようなアトリエにできたらと思っていたんですけど、工事をしだしたらものすごくお金がかかってきて『これはお店にして(資金を)回収せんと無理や』ってなりました(笑)。今12月に間に合うよう、必死で芝居ができる仕様にしているところです」 福田 「席数ってどれぐらいやったっけ?」 山内 「60席ぐらいかな。だから東京は、もうほぼチケットはないです。大阪はまだ3分の1ぐらいしか売れてへんのに(笑)。東京だと1カ月ぐらいやってもお客さんは入るかもわからんけど、それは転球さんが死んでまうよね」 福田 「さすがに体力的にねえ(笑)」 山内 「でも(出演者)2人だけで、この時点でABCホールの5ステージの3分の1を売ってるのって、関西の興行で言うと割と健闘している方だと思うんですよ。当日までこれやったら、洒落にならへんけど」 福田 「僕らがこれからがんばらんとね」 山内 「でも『(客が)入らへんから、今後大阪公演はやめようか』ということは、2Cheatに関しては絶対ないと思うわ。だってこんなにふざけた舞台って、大阪の人が一番楽しめるやつやからね」