「このままだと妻を殺してしまいかねない…」夫婦で同時期に育児うつに陥った男性が語る父親の育児うつへの対処法「男友達に相談という発想もなかったからこそ…」
夫婦同時期の育児うつ、子どもへのリスクも「親族や自治体、専門機関への相談を」
Bさんは当時の状況を踏まえてこう振り返る。 「育児のために在宅勤務ができる会社に転職しましたけど、今思うと入社を遅らせてでも子育てに専念できる時間をとればよかったなって思います。育休はとれなかったからしょうがないですけど、いっそ『仕事しない』という選択があってもよかったと思うし、実際に出産直後が妻も一番しんどそうでした。もっとあの時こうしておけばなと思うことはたくさんありますね」 国立成育医療研究センターの調査によると、メンタルヘルスの不調に陥るリスクのあった父親が11%、母親が10.8%とほぼ同じ割合であることがわかった。さらに夫婦が同時期にメンタルヘルスの不調に陥るリスクは3.4%となっている。同時期に夫婦が不調に陥ることは、子どもの養育環境や発達にも悪影響を及ぼすと専門家から指摘されている。 「自分がつらい時、妻も産後うつ状態なので夫婦だけでどうにかしようと思っても無理でした。男友達にも悩みを打ち明けるという発想がなかったし、保健師の訪問も基本的に母子が中心なので、誰に相談していいかわからなかったです」 Bさん夫婦には以前からかかりつけ医がいたことが功を奏した。また月に1度程度、実家に家族で帰省した際、両親に子どもを預けたり、妻の母や姉妹に子どもの面倒を見に自宅な来てもらったり、つかの間のガス抜きができたことも救いだったという。 「子どもという存在が家族に一人加わるということは、想像を遥かに超えて大変なことなんだと身をもって経験しました。親の健康は子どもの健康と同じくらい大切です。うまくいかないことがあったら、医師や専門の機関を積極的に頼って相談してほしいです」 現在は夫婦共々落ち着いて育児を楽しんでいるが、同じように子育てに悩む世帯が「孤育て」にならないように、頼ることがうしろめたくない社会が求められる。 取材・文/集英社オンライン編集部
集英社オンライン編集部
【関連記事】
- 《実は母親と同じくらい多い父親の産後うつ》「妻とは住む世界が変わってしまった」男性育休が進む影で相談できず孤立化…認知されづらい父親の憂鬱
- 《増える父親の産後うつ》「弱みを見せてはいけない」父親を追い詰める“有害な男らしさ”とは…法整備進むもいまだ「育児=母親」の文化根強く
- 「子育て世帯に寄り添わない政治」岸田政権2023年「異次元の少子化対策」の1年後。経済学者が唱える最も効果的な少子化対策は…
- 〈産休クッキー炎上中〉公園にいるママは「おめでたくていい」「配るくらい自由にさせてほしい」いっぽう丸の内OLは「自慢された気分になる」「配慮が足りない」〈100人の声〉
- 〈子持ち様論争〉「子どもをもたなかった人の老後を負担」するのは誰? “子持ち様”を一概に批判できない社会保障に関わる“勘違い”とは