創部100年の三島南 「余白」の成果で先取点 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第2日の20日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、三島南(静岡)が鳥取城北に2―6で敗れた。 【「タテジマのプライド」東海大対決を写真特集で】 三島南の稲木監督が選手たちに与え続けた「余白」が生んだ、理想的な得点だった。二回、先頭の山田が右前打で出塁し、暴投と犠打で1死三塁。冨岡がきっちりと左犠飛を決め、わずか1安打で先取点を奪った。 朝練もなく、ミーティングも短い効率の良さが特徴のチーム。試合中も選手に作戦を任せることも多く、「主体性を育て、持続的な変化や成長につながる」と稲木監督は「余白」の狙いを説明する。強いることはなくても、始業前にほとんどの部員がランニングや打撃練習をこなし、山田や冨岡も早朝の自主練習で弱点を克服してきた。 口火を切った山田は昨秋の公式戦では打率1割4分8厘と沈み、冬場には打撃フォームの改造に取り組んだ。暇さえあれば動画サイトで「大好き」な藤原恭大(ロッテ)の打撃シーンを繰り返し見続けた。まねをして構えのトップの位置を下げ、左足を上げるようにしたことで「タイミングが取りやすくなった」。 昨秋はアッパースイングだった冨岡も、冬場に「スイングスピードと飛距離を伸ばしたい」と上からたたく意識で打撃練習に取り組んだ。「バットの根元だった」というこの日の当たりが浅い飛球にならなかったのは、「パワーが上がったからこそ」と振り返る。 創部100年の節目に、県勢初の21世紀枠で選出された。目標だった甲子園1勝は果たせなかったが、稲木監督は「序盤から動けていた。選手の成長を感じた」と目を細める。冨岡は「また夏に戻ってきます」と言い切った。【森野俊】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。