MT×200万円切り×車重920kg=スズキ・スイフト 楽しくて燃費もいい
軽さは、やはり正義だ
車両本体価格は192万2800円(税込)で先代同様に200万円を切るが、先代RSやXGと同様に新型のHYBRID MXもナビゲーションシステムはオプション設定だ。先代はディーラーオプション、新型はメーカーオプションが基本で、ディーラーオプションの設定もある。試乗車はメーカーオプションの「全方位モニター付メモリーナビゲーション・スズキコネクト対応通信機装着車」(いわゆる「9インチメモリーナビゲーション」)が装着されており、価格は25万800円だ。このオプションを選択すると、(今どきめずらしく?)CD/DVDプレーヤーがセットで装着される。 諸元表を確認すると、各ギヤ比と最終減速比は先代と変わっていない。トランスミッションはキャリーオーバーなのだろう。ただし、前述したように新型スイフトのMT仕様はマイルドとはいえハイブリッドシステムとの組み合わせだし、1.2Lの排気量は変わらないものの、エンジンは新型である。 MTでギヤ段を任意に選択しながら走っていると、懐の深いエンジンの実力を存分に味わうことができる。先代スイフトはK12C型の1.2L直列4気筒自然吸気エンジンを積んでいたが、新型はより高効率な、Z12E型の1.2L直列3気筒自然吸気エンジンを積む。MTとの組み合わせで走っている(操っている)と、中間加速の力強さが頼もしい。市街地で2速、3速、4速とシフトアップし、巡航スピードに達するまでの一連のシーケンスが爽快だ。高速道路の追い越しシーンでも力不足によるストレスを感じることはなかった(ずっと1名乗車だったが)。 シフトレバーの操作フィールは特別カチッとしているわけではないし、剛性感があるでもない。ただ、ルーズにすぎることもなく、良く言えば、妙なクセはない。車両重量は920kgで、同グレードのCVT仕様に対し20kg軽い。その差が体感できるとは自信を持って言いづらいが、絶対的な軽さは効いており、だから1.2Lの自然吸気エンジンでも、ストレスなくキビキビ走るのだろう。ギヤ段をドライバーの意思で任意に選択できるMT車だと、なおのこと活発に動き回れる。そこが魅力だ。 ひとつだけ覚悟が必要なのは、MT仕様には電動パーキングブレーキ(EPB)が付いていないことだろうか。最上級グレードのHYBRID MZはスズキの小型車で初めてEPBを標準装備したが、HYBRID MXはコンベンショナルなサイドレバーを引いてパーキングブレーキをかける。EPBを装備していないので、信号待ちなどでブレーキペダルから足を離しておけるブレーキホールドも付いていないし、上り勾配での発進時はサイドレバーを引きながらクラッチをミートさせる“坂道発進”が必須だ。 そんな昭和的な操作が苦にならない、あるいは、そこも含めてMTの運転を楽しみたいと考える人にとって、スイフトのMT仕様は貴重な存在だ。ちなみに、今回の試乗では331.3km走って(東京~御殿場間の高速道路での往復移動を含む)、平均燃費は24.0km/Lだった。シフトレバーとクラッチを操作しながら、気持ち良く走って「いい燃費」が得られるのも、スイフトMT仕様の魅力である。 スズキ・スイフトHYBRID MX(5MT) 全長×全幅×全高:3860mm×1695mm×1500mm ホイールベース:2450mm 車重:920kg サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式 駆動方式:FWD エンジン形式:直列3気筒DOHC エンジン型式:Z12E型 排気量:1197cc ボア×ストローク:74.0mm×92.8mm 圧縮比:13.0 最高出力:82ps(60kW)/5700rpm 最大トルク:108Nm/4500rpm 燃料供給:PFI 使用燃料:レギュラー 燃料タンク容量:37L モーター WA06D型直流同期モーター 最高出力:3.1ps/最大トルク60Nm トランスミッション:5速MT WLTCモード燃費:25.4km/L 市街地モード21.2km/L 郊外モード26.0km/L 高速道路モード27.3km/L 車両価格:192万2800円 全方位モニター付きメモリーナビ25万0800円、
世良耕太