世界一の投資家ウォーレン・バフェットも警鐘を鳴らす「株価高騰」…生き残るためにとるべき〈リスクヘッジの方法〉とは【投資のプロが助言】
ライバルとの競争を避けつつ機敏に資金を配分しリターン創出
投資・運用におけるニッチ戦略とは、大手が参入するには規模が小さすぎるなど、他社との競合が起きにくい特定の市場の間隙(ニッチ)を狙って投資を行い、銘柄を選別し、優位なシェアを獲得し、収益につなげる戦略だ。 他社がすでに参入している市場とすみ分けを行う意味で、市場でトップ・シェアを持つリーダー・大手企業とは戦わない。 差別化戦略が競争優位性を得るために競合他社との違いをアピールしてリーダー・大手企業と戦いシェアを獲得するのとは違い、ニッチ戦略では大手競合他社が存在せず、独占的な地位を築くことができる。 このためニッチ市場では、高い価格を設定しても、投資家が競合他社に流れることが起こりにくく、収益を独占し、高い利益率を上げることができる。ニッチ市場で成功すれば、当該分野での先駆者となれ、世間や投資家からの注目度が上がり、知名度向上が新規投資家の獲得にもつながる。 もっともニッチ市場は小規模で限定的なことが多く、新たな分野の開拓により、投資家に受容されないこともあるため、市場が収益化できるほど成長せず、投資に見合った利益が回収できないリスクもある。 またニッチ市場であっても市場構造の変化に伴い、競合他社が参入してくる可能性もある。競争が起きて独占的な地位が崩れ、高収益を維持するために差別化戦略が必要になる場合もある。 ただ、規模が小さくても、高度な金融技術やデリバティブ(金融派生商品)などを活用し、アービトラージ(裁定取引)、オプション、CAT債(大災害債)、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)など多岐にわたり分散投資を行うことが有効なことも多い。 過当競争を回避し、リスク管理を徹底し、下振れボラティリティーを最小限に抑制しつつ、機敏な資金配分により、市場や他の大手ファンドとの低い相関を目指しながら、リターンを追求することが可能だ。 髙橋 文行 池田 祐美 くにうみAI証券株式会社 オルタナティブ・インベストメントプロダクト部
髙橋 文行