中村憲剛「パワポで200枚」のレポート提出 S級ライセンス取得のためにミシャに会い、カナダへ飛んだ
【1年間ずっと指導実習をやっている感覚】 ── 引退後は解説者をやりながら、ご自身のサッカースクールやフロンターレの仕事もあり、中央大学のテクニカルアドバイザーもして、JFAのロールモデルコーチもやりつつライセンスを取得されたわけですけど、いったい、どのような生活を送っていたのでしょうか。 「何よりもまずは、ライセンス受講を最優先にしていました。その年の講習会のスケジュールをまず押さえて、そこに被らないところでいただいたお仕事を受ける形でした。 昨年はS級のスケジュールに時間がかなり割かれたうえに、レギュラーで行なう仕事や指導もありましたので、受けられるお仕事と、解説のように担当する両チームの過去の試合を見る時間を捻出することが叶わず、残念ながら受けられなかったお仕事もありました」 ── ざっくりとした質問で申し訳ないですけど、何が一番大変でしたか? 「日常の仕事と並行してやることが、本当に大変でした。ライセンスだけに集中できたら、あそこまでは苦労はしなかったと思うんですけど、生活がありますからね。プレゼンも大変でしたし、ミーティング用の映像を作ることも大変でした。あと『間の学習』も大変でしたね」 ──『間の学習』とは? 「S級は1年を通して5つのモジュール・合計80時間で構成されていましたが、そのモジュールとモジュールの間にも自分で提携した大学で指導実践を毎回、必ず行なっていました。それが『間の学習』ですね。 そこにJFAのチューターの方が足を運び、チェックしてくださいます。時にはほかの受講者とコンビを組んでやる時もあって、その方の現場をチェックしにいくこともありました。 僕の指導実践は、自分がテクニカルアドバイザーを務める中央大でやらせていただいたのですが、中大の週末の試合を見たうえで、何が課題だったのか、理想のイメージはどうだったのか。次の週に行なわれる指導実践のテーマを中大の監督と相談して決めて、そこからその設定されたテーマに沿った映像を編集・作成し、指導実践当日の練習前のミーティングで選手たちにそれを見せながら説明して、ミーティング終了後にその日のテーマに基づいた練習に入っていく。 要は、プロの流れとまったく同じ形でやるんです。だから、モジュールだけをがんばればいいのではなくて、『間の学習』でも同じことをやるので、1年間ずっと指導実習をやっている感覚でした。なので、常にライセンス関連で行なうことが頭から離れませんでした。忘れていい時がひと時もないくらい」