1971年8月14日、ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブール。生後24日の娘シャルロットとともに。

セルジュ・ゲンズブールは1991年に亡くなった。作曲家、作詞家、歌手、映画監督、俳優でフランスでは誰もが知るスターだ。また彼は女性を愛し、愛された男だった。 【全画像をみる】昭和おじさんのカリスマ、ゲンズブール。パリの私邸をノンフィクション作家が行く 既婚者だったブリジット・バルドーとも交際した。エルメスのバッグの名前ともなった女優、ジェーン・バーキン（2023年没）の事実婚の相手であり、娘は女優、シャルロット・ゲンズブールだ。 彼は日本でも知られている。それは彼の生き方、スタイル、ファッションが男性誌、ファッション誌で何度も特集されたからだ。 「不良でありつづけたい」と思った昭和のおじさんたちはゲンズブールに憧れて無精ひげを生やし、ジタン（フランスの煙草）を吸い、レノマもしくはサンローランのペンシルストライプのジャケットを着た。シャツのボタンは上の3つまで外し、胸毛をちらつかせるのも決めごとだった。胸毛がないおじさんは仕方がないから、ボタンを上まできちんと留めた。 彼が履いたのは裾を切ったジーンズで、靴は素足にレペット（ダンスシューズのブランド）だった。石田純一が今も素足に靴を履いているのはゲンズブールの影響に違いない。 日本でも知られる彼の曲は3つある。 一曲目は1965年にリリースされた「夢見るシャンソン人形」。本国ではフランス・ギャルという名前の歌手が歌い、日本では弘田三枝子がカバーした。弘田三枝子といっても知っているのは昭和の人間だけではないか。 2曲目はフランソワーズ・アルディが歌った「さよならを教えて」（1968年）。メロディを聴いたら、「あっ、この曲なのか」と思う人はいると思う。 最後が「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」（1969年）。ゲンズブールとバーキンのデュエットだ。不適切で過激な曲で日本では要注意歌謡曲指定となり、放送禁止だった。 1976年にはゲンスブール監督、バーキン主演で同タイトルの映画も公開された。 先日、亡くなったアラン・ドロンが正統派のハンサム男子とすれば、ゲンズブールは不良で反骨、異端の男だった。しかし、なぜか正統派よりもモテる男で、しかもフランスの庶民に愛された。