8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
高品質なインテリア 空間は期待ほど広くない
Q2のインテリアは、先代のアウディA3から少なくない部品が流用されている。それでも登場時は、先代のメルセデス・ベンツGLAなどより上質感があり、品質では優れていた。ツートーン仕立てのダッシュボードは、スタイリングとのバランスが悪くない。 車内空間は、期待するほど広くはない。後席側は、空間効率に優れた、ひと回り小さいハッチバックと同等といえる。とはいえ、平均的な身長の大人なら、前後へ問題なく座れるが。 荷室は広め。Q3より125L小さいものの、405Lある。ただし、開口部の位置が高めで、重い荷物は少々載せにくい。後席の背もたれを倒し、高さを変えられる床面を持ち上げれば、フラットな空間を作れる。 インフォテインメント・システムは、MMIと呼ばれるもの。2016年当時は先進的な仕様といえたが、最新のシステム並みにタッチモニターが操作しやすいわけではなく、旧バージョンに感じられることは否めない。
英編集部のオシは30 TFSI 落ち着いた操縦性
それでは、市街地へ出てみよう。現在のラインナップで、英国編集部が推すのは30 TFSI。3気筒ターボが、0-100km/h加速を10.5秒でこなす、不満ないパワーを生み出すからだ。2000rpmから20.4kg-mの最大トルクを発揮し、力強く走らせる。 中間加速も充分。追い越しも気張らずこなせる。排気音にターボの高音が重なり、サウンドも悪くない。6速MTの正確な変速感も好ましい。 35 TFSIはパワフルで、よりレスポンシブ。最大トルクは25.3kg-mへ上昇し、0-100km/h加速を8.6秒でこなす。高負荷時でも滑らかなことが魅力だ。 ただし、7速デュアルクラッチATの反応は今ひとつ。アクセルペダルの小さな角度変化で変速したがる傾向がある一方、踏み込んだ時のシフトダウンは遅れ気味。運転体験の印象を濁している。1.5Lでも、MTの方がベターだろう。 登場から8年目でも、落ち着いた操縦性は変わらず。通常のダンパーが組まれたQ2でも、姿勢制御は引き締まり、軽快に身をこなす。サスペンションのストロークは長く確保されているが、カーブでのボディロールは抑制されている。 可変レシオのステアリングは感触が薄いものの、フロントノーズは素早く反応。切り込んでいくほどクイックさが増していき、驚くほど高いフロントタイヤのグリップ力を活かせる。ブレーキ制御のトルクベクタリング機能と相まって、積極的に旋回できる。