畜産農家に生産費補助 原油・物価高で重点支援 福島県、補正予算案
原油や資材などの価格高騰の長期化を踏まえ、福島県は今年度、影響が深刻な畜産農家に光熱費などの生産費の増加分を補助する。施設の建築費や暖房費など高止まりしているコストの軽減につなげる。燃料価格上昇のあおりを受ける輸送関係をはじめとした各種事業者や農家・漁業者、一般家庭も支援する。内堀雅雄知事が16日、物価高騰対応重点支援事業費約73億9876万円を含む507億6千万円の2024(令和6)年度一般会計補正予算案を発表した。 物価高騰対応重点支援事業は国の臨時交付金などを財源にする。主な事業は【表】の通り。畜産農家対象の事業は新規で、肉用牛、乳用牛、養鶏、養豚の種類ごとに上限を定めて補助する。補助額は肉用牛が1頭当たり2千円、乳用牛が1頭当たり2700円、豚が1頭当たり500円をそれぞれ上限に設定した。鶏は100羽当たり2千円。 県内の畜産農家は約千戸で肉用牛3万2千頭、乳用牛8千頭、豚8万5千頭、鶏605万羽を飼育している。県などによると、畜産農家の経営は光熱費や施設の維持管理費の増加で厳しさを増している。物価高騰に伴う一般家庭の節約志向により大幅な消費拡大も難しい状況だ。これまでは餌代の上昇分を補助してきたが、牛舎などの暖房や生乳の冷却、餌を与える機械などに使う電気代や燃料代、牛舎をはじめとした施設の建築費なども支援が必要と県は判断した。
肉用牛約270頭を肥育している郡山市の武田ファームは2年前に比べ飼料や暖房費などが約1・5倍に膨らんだ。価格転嫁は難しく節約などの自助努力にも限界があるという。武田晃一社長(57)は「県の支援策などを活用し、妥協せずに品質の高い肉牛を生産していきたい」と話している。 ■路線バス利用促進へ運賃無料デー 県内全域で2日間想定 県と県バス協会は路線バスの利用促進を目的とした初めての「バス無料デー」を実施する。補正予算案に関連経費4千万円を計上した。バス業界は燃料価格高騰もあって厳しい経営状況が続いており、県民にバスの利便性を感じてもらうことで普段の利用を促し路線の維持につなげる。 実施時期は来年2月から3月上旬までの平日と土日・祝日の各1日の計2日間を想定している。県内で運行している6社の全ての路線バスの運賃を無料にする計画だ。普段利用しない人にも路線バスの利便性や魅力を知ってもらえば通勤や通学など日常的に活用するきっかけになると期待している。物価の高騰で外出を控えている県民にバスで地元の商店街や観光施設に足を運んでもらい消費拡大につなげる。利用者へのアンケートを通して効果を検証し、今後のバス利用促進策に生かす方針。