新潟で水路被害広範囲 田植え間に合うか 能登半島地震
能登半島地震の影響を受け、国内最大の米産地の新潟県で農業用排水路に被害が出ている。県によると、これまでに液状化被害が深刻な新潟市を中心に約160カ所で被害が確認された。まだ調査中のところが多く、被害は拡大する見通しだ。県や市町村は調査・復旧を急ぐが、春の田植えに間に合うのか、農家には不安も広がる。 米の作付面積県内一の新潟市。稲作地帯の西区中野小屋地区では、主要な用水路が70メートルにわたり被害を受けた。U字溝が破損し、水路脇の斜面も崩れて土砂が流れ込んだ。 県内では昨夏の猛暑で米の等級低下に苦しんだこともあり、今年の米作りにかける期待は大きい。同地区で米を3・5ヘクタールでつくる大友農家組合長の小竹忠雄さん(71)は「ひどい状況だ。早く復旧してほしい」と訴える。 同市西蒲区では、土中のパイプラインが破損した。鎧潟地区の鎧潟工区は2月上旬、300ヘクタールに水を届ける七つのポンプ場を動かし、通水して破損箇所を確かめる試験を実施。漏水を7カ所で見つけた。岡本正工区長は「直して通水しても、地震で弱った別の箇所が壊れるかもしれない」と懸念する。 市によると、被害調査の進み具合は5割程度だが、7日時点で確認された農業用排水路の被害は70カ所以上。市街地に埋めた直径1・2メートルの大型管でも破損が判明したという。 県の8日時点のまとめでは、用排水路の被害は10市160カ所で、半数近くを新潟市が占めた。雪が残りまだ調査が難しいところもあり、最終的な被害は膨らむ見通しだ。 県は「春までに仮にでも復旧させていきたい」とする。ただ、県内でも住宅被害が相次ぎ、資材や土建業者の不足も見込まれる中、農家からは「本当に間に合うのか」といった声も出ている。
日本農業新聞