加藤和樹「来られたら怖い」と辰巳ゆうと&新浜レオンのミュージカル参入に危機感&期待
日本のミュージカル界を牽引するトップスターの中川晃教をはじめ、加藤和樹、唯月ふうか、辰巳ゆうと、新浜レオンの5人が、8月19日に横浜市・関内ホールで「Musical Stage24-Songs&Dance&The history of Pops-」を開催。「ミュージカルスターが挑む、新しいステージ」をテーマに、往年のミュージカルナンバーから、時代を超えて愛される歌謡曲、J-POPのヒットソングまで、迫力の生バンド演奏とともに一夜限りのステージを披露した。 【写真】中川は、辰巳ゆうと、新浜レオンのフレッシュな二人を「実績と勢いでミュージカルと化学反応を起こせている」と大絶賛 ■中川晃教らが歌やトークで魅せる オープニングは、「I Hope I Get It」の曲で中川と加藤が黒白の対の衣装で登場。ライブタイトルにLを追加して「Musicall Stage 24」が完成形であることを告げ、ALLの意味を込めて観客も含めたステージだと強調すると、ゲストの唯月、辰巳、新浜をステージに呼び込み、ライブをスタートさせた。 最初の楽曲は「君の瞳に恋してる」。軽やかな声でアップテンポな楽曲を歌う中川の歌声に魅せられた観客から自然と手拍子が起こると、一気に一体感が広がり会場を沸かせた。続く加藤は「CONGA」、唯月は「ナチュラル・ウーマン」、辰巳と新浜は「アイ・ウィル・フォロー。ヒム」でデュエットを繰り広げると、全員で合唱した「ダンシング・クイーン」では、息の合った歌声を響かせた。 トークコーナーに入ると「ミュージカルのパイオニアたち」をテーマに、日本で最初に上映されたブロードウェイミュージカルが「マイ・フェア・レディー」だったことや、アイドルでは西城秀樹や山口百恵がミュージカルをやっていたことなどが明かされた。そこで、ミュージカルで活躍した人たちや定番のヒットソングをリスペクトするキャスト陣たちが、思い思いの楽曲をカバーすることに。 懐かしの歌謡曲ということもあり、トップバッターの辰巳が越路吹雪の「ラストダンスは私に」を歌い始めると、観客から再び手拍子が巻き起こった。歌い終わりには喝采が送られるほど会場が温かい雰囲気に包まれ、観客の反応に答えるように坂本九の「見上げてごらん夜の星を」を中川、山口百恵の「横須賀ストーリー」を唯月、西城秀樹の「走れ正直者」「ブルースカイブルー」を加藤と新浜が力強く歌い上げ、至極の歌声を観客に届けた。 ■心を震わせる歌声で観客を魅了 続く「YOKOHAMA STORY」のコーナーは、キャスト陣が横浜の良さを物語形式で紹介。ノリノリの内容で観客を楽しませると、そのまま横浜に関する楽曲「ブルー・ライト・ヨコハマ」「伊勢佐木町ブルース」など6曲をキャスト陣が次々と熱唱。色とりどりのペンライトが輝き、温かな雰囲気が場内を埋め尽くすと、事前に公募していた中から「歌ってほしい曲」が発表され、全員でフジファブリックの「若者のすべて」を歌い上げた。 その後、一瞬の暗転とともに最後のコーナーへ。ダンサーによるキレキレのダンスと5人の歌声が交じり合う「The Greatest Show」で迫力のパフォーマンスを見せつけると、ミュージカルナンバーとしても名高いロミオとジュリエットの「エメ」や、オペラ座の怪人の「ザ・ミュージック・オブ・ザナイト」など、7曲を5人が入れ違いに披露。心を振るわす歌声でこの日一番の盛り上がりを見せると、ラストの曲はコーラスラインの「ワン」を全員で合唱した。 最後に、中川からドキュメンタリー映像を加えた本公演の模様が、BS-TBS にて12月1日(日)に放送されると発表。温かな拍手が送られる中、観客も交えての記念撮影を敢行すると、会場のファンに向かって感謝を伝えたキャスト陣は、手を振りながらステージを後にした。 ■思いを言葉にすると実現する この日、公演を終えたキャスト陣の囲み取材が行われ、イベントの感想などを語ってもらった。 ――イベントを終えた感想をお聞かせください。 中川晃教「ミュージカルは西洋のもので日本人にとっては敷居が高く感じられるものですが、近年仲間たちがお茶の間にミュージカルの魅力を届けていて、そのおかげでミュージカルが浸透していっているのではと感じています。今回、ミュージカルというジャンルと日本のエンターテインメントを合わせた番組を作ってみてはどうかという話をいただいて、実現したのが今日のステージでした。思いを言葉にしていると誰かが聞いてくださっていて、今回のように実現するんだなと感じて嬉しくなりました」 加藤和樹「今回の催しが放送されるとのことで、画面越しでも今日のライブ感が伝わってくれたら、と思います。ミュージカルは世界中に広がっていて韓国でも人気が出ているので、日本でももっと広がって、見に来てくださる皆様のより身近なものになってほしいです」 唯月ふうか「作品や役、ジャンルを飛び越えていろいろな方々と一緒になれるのがコンサートの良さだと思っています。歌を歌うだけじゃなくみんなでダンスを踊ったり、一つの曲に対して一緒に作り上げる楽しさは、すごく充実したものでした。これからもこういうコンサートが続いてほしいですし、また私も出たいなと思いました」 辰巳ゆうと「普段、演歌界で活動しているとなかなか味わえないような、一緒に一つの作品を作り上げる楽しさを経験できました。ここで学んだことを演歌界でどうやって取り入れていくか楽しみになりましたし、私自身ミュージカルも好きで出演したいという夢があるので、その夢が大きくなりました」 新浜レオン「こんな温かい初挑戦、普通はないと思うんですけど、スタッフの皆様もリハーサルの時から温かく迎えてくださって感謝しかないです。いろいろなことを学べたので、僕にとってはかけがえのない引き出しになりました。またご一緒できるように頑張りたいです」 ■歌声の力って言語は関係なく伝わる ――ステージではダンスなどもされていましたが、かなり練習されたのでしょうか? 中川「実は今日、1時間半ほどかけて、振り付けの練習をさせていただきました」 加藤「辰巳くんとかどうでした?」 辰巳「あんまり覚えてないです、必死過ぎて。僕は導いてくれる加藤さんを見ていて、加藤さんが間違えた時は知らんぷりをしながら自分はちゃんと踊って…」 全員「笑」 中川「ダンスはエッセンスだけでも取り入れるだけで、ただ棒立ちで歌うのとは変わってくるし、フォーメーションやスタイルも経験できるのですごくいいですね」 加藤「僕はダンスが苦手なんですけど、振付師の人に『ダンスもせりふなんだよ』と言われて、踊りも表現の一つとして何かを語りかけているんだと気付いてからは、努力するようにしています」 唯月「前に言われたんですけど、ダンスって感情の延長線上で動くと憶えやすいんだそうです。私も先生に説明されてから踊れるようになりました」 ――演歌を歌っている辰巳さんと新浜さんにとって、ミュージカル楽曲は歌う上でどんな難しさがありましたか? 辰巳「声の出し方も表現の仕方も違う部分がほとんどだと思うので、演歌とミュージカルは近いようで違う。だから、一から勉強させてもらうつもりで練習しました。ただ、普段はこぶしをずっと回しながら歌っているので、こぶしを回さずに歌うのは演歌歌手にとっては難しいですね。演歌っぽさを出さないことが一番大変でした」 ――演歌歌手である2人の挑戦を見ていかがでしたか? 加藤「『ミュージカル界にぜひ来て』とは言うものの、実際に来られたら怖いなって感じてます。二人の歌声が韓国の発生方法にすごく似ていて、しっかりと習得されたらすごいことになるぞってミュージカル側の僕らからしたら危機感を覚えますね。でも、二人にも新しい世界を感じてもらいたいし、見にくるお客様にも感じてもらいたいと思うので、二人には期待しています」 中川「誰もが口ずさめるポップスを普段歌われている二人がミュージカルの洋楽を歌っていてすごいと思ったのは、『アイ・ウィル・フォロー・ヒム』のときに歌声の力って言語は関係なく伝わるんだなって。だからフレッシュな二人が若さだけじゃなく実績と勢いでミュージカルと化学反応を起こせているのは、すごいチャンスだと思っているので、ぜひその先を見せてほしいなと思います」