「時々無性に食べたくなる」「ご飯が進みすぎる」…やよい軒の隠れた人気メニュー「味噌かつ煮定食」。そのこだわりとは?
こうした工夫もあって「やよい軒のご飯は美味しい、と評価いただくことも多いです」と後藤さんはうれしそうに話します。ちなみに、やよい軒とほっともっとなどを含めた、グループ全体における米の消費量は年間約4万トン。同社によると、これは日本国内の消費量のうち0.5%を占めるとか。また、最近では農業の課題解決の一助となるために、スマート農業を軸にした米の自社生産も始めており、今年度は約200トンの生産を見込んでいます。こうした徹底した米に向き合う姿勢には驚かされます。
■味の根底は変えない一方、丼から陶板へアップデートも 今回のメインテーマである味噌かつ煮定食が登場したのはいつだったのでしょうか。後藤さんによると、やよい軒以前のめしや丼時代から提供していたそうです。ただ、当時は丼での提供でした。やよい軒へのリニューアルとともに、現在のような陶板での提供スタイルになりました。 味噌だれで意識しているのは、やはりご飯が進む味付けにすること。赤味噌や豆板醤をブレンドして、味噌の甘みとともに、辛みが引き立つように工夫しています。また、半熟卵は生卵をかつと一緒に煮込み、絡めて食べるとさらに味の深みが出るような設計にしているそうです。
後藤さんによると、基本的な味付け自体は販売当初から変えていないとのこと。長年提供しているからこそ「食べたときに、懐かしさを感じてもらえるようなメニューにしたいと考えています」と狙いを話します。 とはいえ、若干の変更も加えてきました。例えば、付け合わせのポテトサラダ。以前はフライドポテトでしたが、味噌との相性を考えて2023年の4月に変更しました。また、小松菜の和え物も以前は湯煎したシンプルな小松菜でしたが、現在は油揚げとにんじんを加えたものとなっています。
■漬け物・だしで我流アレンジで楽しむ人も多数 いくつもの楽しみ方があるみそかつ煮定食ですが、一部ネットでは、無料サービスのマヨネーズと合わせる食べ方が時折話題になり、公式Xでも「アレンジ」として紹介しています。 実はこうした、我流のアレンジで食べるお客さんは多いそう。漬け物とともに、2020年から提供しているだしも相まって、さまざまな楽しみ方が広がっています 「店舗へ行くと、漬け物やだしを“有効利用”しながら楽しんでいるお客さまを多くお見かけします。どちらかというとヘビーユーザーな方の楽しみ方ではありますが、ミドル・ライトユーザーの方々にも、やよい軒ならではの楽しみ方を届けていきたいですね」(後藤さん)
実は筆者も、味噌かつ煮とから揚げだけで飽き足らず、だしと漬け物でシメの茶漬けを楽しんでいました。正直、これだけでご飯を何杯もいけてしまいます。ご飯好きにとってこれほどまでにコストパフォーマンスの高い飲食店というのは、なかなかないのではないでしょうか。今後もどのような飯泥棒が生まれるか、期待です。
鬼頭 勇大 :フリーライター・編集者