初めての恋と失恋は執着、自暴自棄、大暴走で波瀾万丈!?30代のリアルな恋愛エッセイ『34歳初めての失恋から立ち直るまでの記録』をレビュー
人を好きになったことがない。そんな主人公・みくるべが、初めて恋をし、失恋をする。『34歳初めての失恋から立ち直るまでの記録』(みくるべ/KADOKAWA)は、そんなみくるべの失恋からの再起を描いたエッセイだ。
みくるべは、恋愛経験がない32歳。人を好きになったことがないことや、恋愛経験がないことを、普通ではないことだと感じていた。また、普通になれない自分に対し、劣等感を持っていた。そんな彼女に転機が訪れる。SNSで、とある男性と出会ったのだった。最初はグループで通話していたりしたが、徐々に距離が縮まり、2人で会話するようになる。男の人に苦手意識があったみくるべは、話しやすい彼に惹かれていく――。 告白するものの、「恋愛対象ではないが告白は嬉しい。好きでいてもらえると嬉しい」と、なんとも相手側に都合の良い内容だった。しかし、みくるべは「いつか好きになってくれるかも」と楽観的な期待を持ち、相手に依存し始めてしまう。 のちに2人は付き合うことになるのだが、コロナ禍だったこともあり、2年のうち実際にあった回数は数回。会いたい、一緒にいたいという思いから、仕事を辞めて引っ越しをしようとするなど、みくるべが暴走していく様子が描かれている。 このエッセイは、恋愛経験がないからこそ相手に依存、執着してしまった、30代のリアルな恋愛が描かれている。恋愛は教科書通りにはいかない。この話を読み、「私だけじゃなかったんだ」と思う人もいるのではないだろうか。 結局、付き合って2年後にフラれるが、彼氏への強い思いがなかなか忘れられない。忘れようとすればするほど、失恋の傷を抉っていく。そんな彼女が、どうやって失恋を乗り越えたのか――。 恋愛したことがない人や、恋愛するとついついのめり込んでしまう人、失恋し前に進めずにいる人に、ぜひ手にとってほしい1冊だ。 文=ネゴト / 森ソタカ