カウリスマキの映画館キノ・ライカで販売中のグッズをユーロスペースで展示、特集上映なども
ドキュメンタリー映画「キノ・ライカ 小さな町の映画館」の公開を記念し、東京・ユーロスペースでは映画公開日の12月14日より各種企画の実施が決定。キノ・ライカで販売されているグッズやポスターの特別展示などが行われる。 【画像】キノ・ライカで販売されているグッズ 「希望のかなた」「枯れ葉」などで知られるフィンランドの映画監督アキ・カウリスマキが、共同経営者の作家ミカ・ラッティらと2021年にオープンした映画館キノ・ライカ。本作では、カウリスマキと仲間たちがフィンランドの小さな町カルッキラで映画館を作るために奔走する様子が映し出される。監督のヴェリコ・ヴィダクは、カルッキラに約1年間滞在し撮影に臨んだ。 このたびの企画は日本公開を喜ぶラッティの提案により実現し、ロゴ入りTシャツ、パーカー、キャップ、オリジナルのポスターなどが展示される。さらに3色の毛糸と編み棒、編み方説明書が入った「キノ・ライカ ニッティング・ボックス/キノ・ライカ ソックス」も。説明書通りに編み上げると、キノ・ライカのロゴ入りソックスを完成させられるという1品だ。側面には「私が自分で編んだ鍋つかみを、担任の先生がみんなの前でクラスで一番だよと褒めてくれたのは誇らしかった。それ以来編んだのは、カミさんに贈った花を飾るハンギングバスケットだけ。絶望的な出来だった」とカウリスマキのコメントが添えられている。なお、彼の直筆サイン入りボックスを1名にプレゼントする来場キャンペーンも実施。詳細は映画公式サイトに順次掲載予定だ。 さらに「キノ・ライカ 小さな町の映画館」の上映前にはオリジナル映像がスクリーンに。キノ・ライカで実際に使用されている「ライカ、おすわり。映画が始まるよ」「ワン!」という映画が始まる合図で、「マッチ工場の少女」「過去のない男」のカティ・オウティネンとカウリスマキの愛犬ライカの声が使われている。加えて、キノ・ライカから直輸入したポップコーン・カップを使用した「キノ・ライカ・ポップコーン」の販売も。ユーロスペースでは鋳鉄釜で手作りした無添加ポップコーン菓子「農家さんのケトルコーン」と、キノ・ライカ・カップのスペシャルパッケージを購入できる。 加えて、特集上映「カウリスマキと映画とキノ・ライカと」を1月11日から24日まで実施。劇中でカウリスマキが10代の頃に2本立てで観たと語る「極北のナヌーク」「黄金時代」のほか、インタビューに登場するジム・ジャームッシュとユホ・クオスマネンがそれぞれ監督した「ナイト・オン・ザ・プラネット」「コンパートメントNo.6」がラインナップされた。 なおヴィダクが日本公開に合わせて来日することも明らかに。12月14日と15日にユーロスペースで舞台挨拶やQ&Aを実施し、15日には東京・シネマネコでもイベントを行う。あわせて各地の映画館の関係者からの応援コメントを後掲した。 ■ 「キノ・ライカ 小さな町の映画館」舞台挨拶・トークイベント □ 東京都 ユーロスペース 2024年12月14日(土)12:15の回上映後 / 14:20の回上映後 舞台挨拶およびQ&A 2024年12月15日(日)14:45の回上映後 Q&A 登壇者:ヴェリコ・ヴィダク □ 東京都 シネマネコ 2024年12月15日(日)10:00の回上映後 登壇者:ヴェリコ・ヴィダク ■ 特集上映「カウリスマキと映画とキノ・ライカと」 2025年1月11日(土)~24日(金)東京都 ユーロスペース □ 上映作品 ・極北のナヌーク ・黄金時代 ・ナイト・オン・ザ・プラネット ・コンパートメントNo.6 ■ 菊池康弘(シネマネコ)コメント 映画を愛する巨匠監督から、故郷へ心温かな贈り物。 人々は熱気と興奮と希望に満ち溢れ、街に映画の灯がともされる。 これぞまさに映画館の存在意義を証明してくれる映画だ。 ■ 京都シネマ スタッフ コメント 生まれたころから映画館がある町にずっと暮らしていると立ち止まって考えてみなかった、 “映画館がある暮らし“のささやかな素敵さをギュッと抱きしめたくなる作品でした。 ■ 仁藤由美(ナゴヤキネマ・ノイ)コメント カウリスマキの作品ではしばしば、 ことの欠落に出遭う。 職業、友人、記憶、祖国そしてイヌも。 闇に灯るこの映画館の光と音は、 失ったものたちと共にくぐる冒険の入り口。 ■ 飯島千鶴(川越スカラ座)コメント アキ・カウリスマキ作品の世界そのもの。 ■ 大矢敏(川崎市アートセンター)コメント 今どき感ゼロの手造り映画館。 ウイーンとモーターが鳴って、スクリーンサイズにあわせてマスクを切っていて、うれしいです。 ■ 下地久美子(桜坂劇場)コメント ちょうど劇場の改装工事を終えたばかりの我が社にとって、 自力で映画館を作るカウリスマキ監督は眩しすぎます。 命令のしすぎで声が枯れ果てそうなうちの社長の映画監督に、 憧れのカウリスマキ先輩が寡黙に働いていたと伝えたい。 でも、どちらにしてもスタッフは大変ですね。 ■ 梅澤舞佳(金星シネマ館長)コメント カウリスマキが小さな町に映画館を作った映画が公開されると聞き、 しかも手造りで、開業までの日数も館名の由来も金星シネマと全く同じ。 絶対に上映したい、と思いました。 町の空気に映画館が溶け込んでいく様に、遠く離れた私もささやかな喜びを感じました。 ■ フォーラム仙台 コメント 「映画とは何か、映画館とは何か」 というラストの問い。 だが、この映画自体が ほとんどのカウリスマキ作品と同じように 「幸せとは何か、豊かな生活とは何か」 という大きな問いの答えを示していた。 ■ 山口伸子(下高井戸シネマ)コメント 「アキ監督の作品はまだ一本も観てないんだ」「俺は全部見てる」 あ、私も…思わず話に入りたくなった。 アキの作品で見てきたような人たちだから、知り合いのように感じて。 映画館のある暮らしって本当にいいですよね。 ■ キネマミュージアム スタッフ一同 コメント カウリスマキ監督の映画に対する想いがあふれた「キノ・ライカ」とカルッキラ。 私たちの映画館も廃ビルを活用し、 監督・安藤桃子が高知の方々と作り上げた「キネマM」から始まりました。 映画で地域に、地域から世界へ、今日も明かりを灯します。 ■ 原茂樹(日田リベルテ)コメント アキ・カウリスマキは、いつだってぼくの人生を支えてくれる映画監督。 その彼が新しく映画館を作るなんて聞いたら、観ないわけにいかないじゃないか。 この映画館は、映画と町、自然と友情を愛する全ての人へのメッセージだ。 (c)43eParallele