松下洸平”牧野”の涙に感動…強さも弱さもひっくるめた芝居の凄みとは? ドラマ『放課後カルテ』第5話考察レビュー
次回はついに篠谷(森川葵)が中心に?
「助けたい」気持ちだけが先行して報われることがなかった過去が一瞬フラッシュバックしたように、牧野は視線を泳がせ、涙目になる。牧野の強さも弱さも成長の過程も全部ひっくるめたような松下の一連の演技にはやはり舌を巻いてしまう。 だが、親子の問題はまだ片付いていない。父親の真吾(和田聰宏)を学校に呼び出し、牧野は羽菜が自傷を行っていたことを明かす。自傷に至るまでの道には様々な葛藤があったはずだが、父親は娘を見ようとしていなかった。 そんな背景を見抜いているから、牧野は鬼気迫る表情で「事情を話せたのはあいつ自身が向き合おうとした証拠。傷は隠していた言葉のすべてです」と伝えるのだった。 娘だろうと、他人であろうと、関係をしっかりと構築できていなければ自傷行為を理解することは難しい。だが、そうなるまでの過程には必ず問題があるはずで、顔を突き合わせて話し合うことでのみ問題は解決に向かう。 医師だけ、教師だけの力で解決できないことを知る牧野は「抱え込んだお前が傷つくくらいなら、こいつが傷つく方がいい」という言葉には思いやりと愛が込められている。 牧野が学校医としてまた一歩進んだように見えた第5話。そして、次回は牧野とは対照的に描かれてきた篠谷(森川葵)が中心に据えられる予感が漂う。児童に寄り添いたいけど、それがかなわないという先生の“リアル”を見せているような存在の彼女がどう変化を遂げていくのか見逃すことはできない。 【著者プロフィール:まっつ】 1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
まっつ