「VAN(ヴァン)」の歴史と振り返る“アイビールック”と“みゆき族”
「この『スウィングトップ』はVANが作った言葉です。このタイプのアウターは英語だと『ドリズラー』になると思うのですが、VANがスウィングトップと名付け、それが全国に広がりこの形のアウターがそう呼ばれるようになりました。 余談ですが、他にもトレーナーや、スケボーなどはVANが作った言葉で、その後広く使われるようになったものがたくさんあります。 スウィングトップが発売された1960年代は襟裏にチンストラップがついた形だったのですが、その後襟が長いドッグイヤー型が定番として現在まで続いています。
そのほか、ラグランスリーブの袖やマガジンポケットという大きな内ポケットは当時と変わらないディテールになっています。このマガジンポケットですが、当時新聞や雑誌を二つ折りにして持ち歩く人が今より多かったため、その際に便利なポケットになっていたようです。 現在はこのマガジンポケットの上にもうひとつ、スマホが入れられるサイズのポケットがつきアップグレードされています。また、フロントファスナーにオリジナルのチャームをつけたり、ロゴ入りのボタンに変わったり、定番とはいえ少しずつアップグレードされています。
背中に入った大きなロゴ刺繍は、ブランドのアイコンとしてこのアイテムに存在感を与えています」
「段返りブレザー」とみゆき族
VANを語るうえでもうひとつの重要なアイテムとして、ブレザーは欠かせない。 1964年に“みゆき族”と呼ばれた若者たちが現れる。これはアイビーファッションに身を包み東京 銀座のみゆき通りに集まった若者たちをそう呼んでいたという。 時を同じくして社会現象といわれるほどだったアイビーブームを象徴する存在だったそうだ。そんな彼らにとってもVANのブレザーはマストアイテム。このブレザーについても詳しくお話を伺っていこう。
「当時のアイビースタイルはブレザーにボタンダウンシャツ、コットンパンツにローファーというアイテムが基本だと思うのですが、そこで定番となっていたのが『段返りブレザー』です。