「メールは1日以内に返信すべき」トンデモマナーはどうして誕生してしまうのか…哲学者が喝!
「それはマナー違反だ」と指摘されると腹が立つが、他人の非常識な言動を見ると注意せずにはいられない。マナーとは本来どうあるべきなのか。マナーで苦しくなったときに楽になれる方法を解説する。 【図表】ルールやマナーにモヤモヤしたときの心得 ■「ルール」は3種類に分けられる 人間の世界は基本、ルールでできています。自然の世界が物理法則でできているように。だけど人間のルールは自然の法則とは違って、従ったり従わなかったりできる。だから、ときに「従うべきかどうか?」とモヤモヤすることがある。 そこで心得その1、それらに従うべき理由・根拠があるかを考えてみること。これを考えると、ルール(規範)は3種類に分けられます。 一つは従うべき理由がきちんと説明できる場合です。例えば、「嘘をついてはならない」なんかがそう。だって、もし「嘘をついてもよい」ってことになったら危なくてしょうがない。お互い全く信用できなくなって、社会そのものが成り立たない。政治も経済も科学も生活も、すべてが「嘘をついてはならない」を支えとしているのです。 自分だけの都合を考えたりぼーっとしたりしていると「従わなくていいんじゃないだろうか?」と思っちゃうかもしれないけど、説明すれば従うべき理由があることがわかる。こういうのが道徳の原理。 だけど、これはすごく抽象的で、中身スカスカ。例えば「意図的に嘘ついたわけじゃないけど……」とか「冗談のつもりで言ったのに!」とか、具体的な細かい点を考えるとやはり悩ましい。そこで、最低限「これは絶対にダメだよね」っていうのは決めておきたいので、我々は第2のルールを作ります。「契約する際の説明に嘘があったら、契約は無効」「法廷では偽証罪がある」とか。これが法律。罰則もあるし、作るといってもみんなで決めるわけだから、これには従わないといけない。 ただ、法律で少し具体的に決めたといってもまだまだ抽象的です。それに法律は最低限の「ダメ!」を定めるネガティブなものですが、道徳の中には「こうすればよい」とか、「こうするべきだ」というポジティブなものもあるわけです。「人のためになることはすべきだ」とか。