【鹿島を離れて3か月、J2山形のJ1昇格請負人へ。土居聖真の今(2)】「今は鹿島を気にかける余裕があんまりない」とは言うものの……。古巣クラブと故郷クラブへの気持ちの中で
ジュニアユース時代から鹿島アントラーズで過ごした数少ない生え抜き選手だった土居聖真(山形)。2011年のトップ昇格後は小笠原満男(アカデミー・テクニカル・ダイレクター)、中田浩二(フットボールダイレクター=FD)ら偉大な先輩と共闘。同期の柴崎岳、昌子源(町田)とも切磋琢磨し、2014年以降はリーグ20試合以上にコンスタントに出場してきた。 ■【動画】清水エスパルスを満員御礼の敵地で撃破! アイスタを黙らせた「モンテディオ山形の決勝ゴール」!■ クラブからの期待も大きく、2015年からは小笠原や野沢拓也が背負っていた伝統の8番を継承。看板アタッカーの1人として重要な役割を担い続けていた。その扱いは、指揮官が石井正忠(タイ代表監督)、大岩剛(パリ五輪日本代表監督)、ザーゴ(クラブ・ボリバル監督)、相馬直樹(JFAインストラクター)、レネ・ヴァイラー(セルヴェット監督)、岩政大樹(ハノイFC前監督)と代わっても、大きく変化しなかった。 ところが、ランコ・ポポヴィッチ監督が就任した今季は微妙に様相が違っていた。走力や強度、推進力を重んじた指揮官は名古新太郎、師岡柊生、仲間隼斗といったフレッシュな面々を重用。土居のような技術やアイディア、創造性のあるタイプのアタッカーにはあまり興味を示さなかったのだ。
■「もちろん気にはなりますけど、今は山形の選手」
開幕の名古屋グランパス戦こそ、土居は先発に抜擢され、新戦力・チャブリッチと2トップ気味に使われたが、その後は出番が減少。柴崎が負傷離脱していたこともあり、ボランチでも試されたが、佐野海舟と知念慶でいいバランスが取れるようになると、その起用もなくなっていった。5月以降はベンチ外も増え、本人も苦悩の日々を過ごしたに違いない。 「僕と岳の例で言うと、ホントに話さなくても、見てなくても、パスが来るとか、そういうのがあったんです。満男さんだったり、ヤス(遠藤康=仙台)君だったりもそうなんですけど、『こいつだったらこう動いてくれる』『こいつってここに出してくれる』というのがあって、同じ絵を描けていた。そういう信頼関係をもっと密に築いていかないといけないですね」と土居は4月に語っていたものの、そういう場も与えられなかった。 ここままでは終われない…。山形への完全移籍という決断はそんな思いがあってこそ。7月24日のブライトン戦が鹿島ラストゲームになったわけだが、先にチームを離れた松村優太(東京V)は土居の山形行きを知らされていなかった様子で「ホントにビックリした」とコメント。本当にごく身近な人間だけに相談して、決めたのだろう。 いったん鹿島を離れた以上、身も心も山形の一員になるつもりで彼は取り組んだ。それが8月以降の11試合4ゴールという結果につながったと言っていい。 「もちろん(鹿島のことは)気にはなりますけど、今は山形の選手なんで、しっかり山形で結果だったり、いろんなものを残していきたいと思ってるんで、あんまり鹿島を気に掛ける余裕がないというか、本当にいっぱいいっぱいなので」と清水戦後にも話していたが、今の土居はいかにして山形をJ1に上げるかに全身全霊をかけている。
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